対面練習をしていて感じるのは、速く動こうとするとみんな速く動くということです。
何を当たり前のことをと思われるかもしれませんが、いやいや、これが違うのです。
速く動くというのは結果であって、速く動こうとした結果ではありません。
西洋体育では速く動けばよいのでしょうが、アジア武術ではそうではない。
ではどうするのかというと、本能のままに任せます。
これが中国武術で言う「還元」です。
これによって、身体は自然の反応で動くことになります。
これは速い。
クシャミや転んだ時の無意識の受け身のように速くなります。
みんなのする動きがどうして遅くなるのかと言うと、エゴで確認しながらしようとするからです。
自分の不安や弱い心、または自己愛を満たそうとして、一動作ごとに自分で確認してから次のことをしようとしてしまう。
これは遅いです。
自我を取って無意識になった時の動きが中国武術の求める物です。
自我というのは非常に遅い。
自我で確認できる動きは必然とても遅くなります。
速い技はやってる自分でも確認が出来ず、気が付いた時には終わっています。
もちろん自分の目で見ることなどできはしない。
中国武術はエゴを捨てるための修業です。
一々確認して、エゴを肥大させていっては本質的になりたちません。
私もさんざん、師父から確認をしてはいけないと教わってここまでやってきました。