こちらで話をしているのは、パーソナル・トレーナーのセクシー・フィットネスさんだ(チャンネル名)。個人名は、えぇと、確かユウジさんだったかゴウさんだったか。
https://www.youtube.com/watch?v=EApPM8RlFiE&list=WL&index=3
この動画では、筋トレでの失敗談について紹介している。
ベンチで肩を外したり、デッドで腰を言わせたりという定番のエピソードの中に、首を傷めたという話があるのが興味深い。
とはいえこれは変則的で、鍛えることで傷めたというのではなくて鍛えていなかったから傷めたというお話です。
一般的なフィットネスだと、首を鍛えるということはほぼ行いません。
肘や膝など、クビレを強調することがシルエット作りのメインになっているため、首を太くしてしまうとラインがかっこ悪くなる。
まるで格闘家の体のように。
そう。いつも繰り返している、格闘家の身体は見栄えが良くないというお話で、格闘技ではとにかくまずは首が鍛えられていないと話になりません。
攻撃力は技で強くできるからそこに関しては筋トレはしなくても大丈夫。でも、防御力だけは純粋に筋肉が必要だ。
ポール・ウェイド先生のいうところの、バレット・プルーフ・アブ。防弾腹筋のような筋力ではなくて圧倒的な質量による物理的な衝撃吸収力が必要になる。首も然り。
なので、本当に強い人間になろうと思ったら首の強化と受け身の練習は絶対に必要になってくる。
護身術を標榜するへなちょこ武術愛好家の問題点は、この打たれ強さに1ミリも投資をしていないことだ。
攻撃の練習なんてのは実はほとんど必要ない。
そんなのは、石でも椅子でもその辺の物を拾って掴めば素人でも獲得することができる。
でも防御力は違う。
ただこれも、筋肉をつければそれでいいというものでもあながちなかったりして、ある程度打たれなれることというのが必要になる。打撃に対する受け身のようなものだ。
組技系格闘技の猛者が総合格闘技に出たときに、打たれ慣れていないばかりにちょっと叩かれたら痛さにショックを受けて戦意喪失をしてしまうという光景を何度も観てきた。俗に言う嫌倒れというヤツだ。
今回のお話を代表するキャラクターは、おそらく元格闘家のボブ・サップだろう。
アメリカン・フットボールという圧倒的メジャー競技から転向してきた巨漢のスポーツ・エリートで、初期はその格闘家風情とは比べ物にならない鍛え上げられた肉体によるパワーだけで信じられないような快進撃を見せつけた。
でもそれは長くは続かない。
彼の巨大な肉体を観て、格闘技の常識からするとなまじな攻撃は利かないと思ってみんな手を出しかねていたのだけれど、実際はそうじゃなかった。
彼は生の肉体で殴られた経験が乏しくて、少し打たれただけで痛くてうずくまってしまうクセがある人間だった。
非常にデリケートだったのだ。
それがバレてからは、様子見をせずにガンガン打ってくる格闘家を相手に試合ができる状態ではなくなってしまった。
できる限りダメージを減らそうと、打たれたら自分から倒れて大げさに痛みをアピールして試合を止めてもらおうとする人になってしまって、そのまま試合が組まれなくなった。
本当に強い男かどうかっていうのは、打たれ強いかどうかってことだと私は思っている。
顔をぶん殴られただけで倒れてしまうような人間はこの世界ではやってられない。
首から下がどれだけ強くても、やっぱり首が強くないと弱点になる。
だからウィーク・ポイントのことをネックという。
素人ならストロング・ポイントを強化するだけでよいけれども、専門家だというならネックを克服しないといけない。
ただ、そうするとかっこ悪くなるし着られるシャツがなくなるのだけれど。