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斜めの拳

 最近すっかり、短橋狭馬の、福建南拳が練習のメインになっています、SIFU翆虎です。

 長橋大馬の蔡李佛とこちらは全然違うので、併修すると勁道の理解にとても苦労します。

 ですが、五祖拳の中に非常にありがたい要素がありまして。

 五祖拳は大きく言うなら福建白鶴拳類の武術で、原型となっている「五祖」の中には「白鶴拳」とそのルーツであると言う「羅漢拳」が含まれています。

 また「羅漢」つまりお釈迦様の系統を名に関した「達尊」、つまり達磨大師の武術も入っています。

 達磨大師と言えば嵩山少林寺で禅を拓いた始祖とされています。

 この、北から南への武術の伝播が一つの門の中で見られるのは非常に面白いことではないでしょうか。

 五祖拳は非常に套路が多いのですが、その套路ごとにまったく違うコンセプトが見られたりして、白鶴拳の系統の物は収式が違っていたりします。

 気が付いたのですが、この白鶴拳系の套路とそれ以外の物だと、馬(スタンス)の要素に少し違いがあります。

 一番最初に習う基礎の馬では、前後馬と呼ばれる短橋狭馬の基礎の立ち方と、三角虎と言う北派で言う弓馬に近い物があります。

 この切り替えが明確化されています。

 後に進むとこれが薄くなっていって、だんだん曖昧模糊になって一体化していかにも白鶴拳という感じになります。

 この、間の過程、前後馬と三角虎の明確な切り替えあるからこそ、後の白鶴拳的なスタンスでも中身の構造が何であるかがメッセージされていると思うのです。

 さらに、もう一つ戦術的なメッセージがこの辺りからくみ取れます。

 この時の、突きの方向が斜めなのです。

 前手、後ろ手、どちらも同じところを突くと教わったのですが、これが斜めの方向になります。

 つまりは、前足と後ろ足を一直線に結んだベクトルの方向です。

 いわば槍を持って突き刺すような方向ですね。

 これが、白鶴拳系だと自分のおへそが向いた方、真正面に向かいます。

 歩幅が同じなので一瞬目くらましをされるのですけれども、斜め方向の動線と言うのはこれ、明らかに平馬系武術のベクトルです。

 歩幅は狭いのですが、中身は平馬系のシステムがある。

 ですのでこれを経ることで、平馬系から短橋狭馬、箝羊馬系の武術へのシフトが理解できるという寸法です。


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