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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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フィリピンの記 3

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 英語というのは、中学で習ったようなやりかたではまるで体得出来ないであろうということがよくわかってきました。

 本場の人が英語で学ぶときは、もっと丁寧にしっかりと教えるメソッドがありました。

 本日感動したのは、その中での発音の部分です。

 THを発音するときには、舌を歯で挟んで息を吐きながらTHと音を出します。

 これ、私の感覚から言うと音であって声ではありません。

 この「音」を出すときには、唇を横に引く動作、歯で舌を噛んでいる動作、舌を引く動作、息を吐く動作が同時進行して行われる必要があります。

 しかしやってみると分かるのですが、息を吐くと言うことは意識は外へ行こうと向かうのに対して、舌の動きは内側に入ろうという意を持っています。

 そして舌が内に入ると言うことは、唇は閉ざされようとし、伴って歯も閉められそうになります。

 しかし、それをやってはいけません。

 バラバラが求められるのです。

 これは、ある意味で骨肉分離ではないですか。

 よく昔の情報でしか発勁を聞き知らない人は「全身の動きを協調させる」などと言いますが、実際にはそれは半分しか正しくありません。

 動かない部分や、逆行する部分も多々あるからです。このTHの発音のように。

 それも含めて大きく言えば協調ではあるのですが、ほとんどの人がそれを誤解しているのではないかと感じます。

 とにかく加算的にいろいろな要素を追加してしまうケースが多いようですが、実際には求められているのは引き算であったりもします。

 例えば、塩おにぎり?

 こちらの人はおにぎりが大好きで、マクドナルドでもケンタッキーでもおにぎりがあります。

 そして、おにぎりに付ける塩だれが出てくる。

 これはハロハロ文化と言われるミックス文化の国風がよくわかる気がします。

 対して、日本や中国では時に余白や虚が尊ばれます。禅の影響かもしれません。

 そのせいか、日本では究極の料理は塩おにぎりだなどと言われたりします。

 もし塩おにぎりの完成形を求めたなら、その状態に塩だれを足したならおそらくしょっぱすぎるでしょう。

 それ以上の物を足せないところまで均衡のとれた完成、それを持っているのが究極の塩おにぎりなのではないでしょうか。

 そのような、限界まで無駄をなくし、普段から人間がもっている力や感性、反射神経などを抜いて行ったところに、我々の求める最大の力がおそらくあります。

 ある先生は、病気で力が出ない時が一番勁が強かったと言っていました。

 そのような引き算の中国武術、それに対して、中国武術のエッセンスも吸収して拡大してゆくフィリピン武術。

 武術と民族、社会形成というのも面白いテーマです。

 

 

 


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