ラプンティ・アルニスでも、両手にバストンを持って使う技術があります。
そういうものを一般にシナワリと言います。
しかし、ラプンティのシナワリは他のと違って、特にシンゲル・シナワリと呼びます。
なんでシンゲル(シングル)? と思っていたのですが、よく考えると他のと違って、左右のバストンを交互に使いません。
せっかく両手に持っているのに、右手なら右手だけ、左手なら左手だけを使うことがメインとなっています。
思ったのですが、おそらくはこれは右手だけでなく左手でもどうように片手操法が出来るようにというためなのではないかと思います。
なぜなら、ラプンティは片手での連続攻撃が実戦での基本として設定されているのですが、その片手猛烈ラッシュを、左手でも行うことがあるのです。
マグニート、という特殊な技術があります。
これは中国拳法で言う橋法や扣打、拿のような、片手で相手を捕まえてしまって打ち据えるという必勝パターン戦法なのですが、この場合に、逆に相手が右手のバストンを掴んでくることがあります。
そのような場合に、はじめて複雑なディスアーミング(中国武術で言う空手奪刀)を行います。
通常のエスクリマならそれ自体が目的化しているかのようなディスアーミングですが、ラプンティでは初めからそれを狙ってゆくことはあまり推奨されていません。その時間があったらマグニートしてるのだから連打で袋叩きです。
それを掴み返されて阻止されて、はじめてディスアーミングします。
両手と両方のバストンが絡まっているので、非常に複雑な姿勢ですが、そこからそれらを絡めて武器への関節技を掛けてバストンを奪います。
その場合に、左手側のバストンを奪うことがあります。
そのような場合に、右手と同様に左手も使って引き続き連打攻撃を行ってゆくわけです。
沢山打ってゆけば、その内に決定打が急所を捉えもするでしょう。そうやって勝利に持ち込むわけです。
これはあるいは、ドセ・パレス系のデス・マッチが、投げとディスアーミングがポイントになっており、先に3ポイント取ると勝ちだということに由来しているのかもしれません。
すぐに武器を奪ってしまっては元気な状態で次のラウンドになってしまうので、それまでに出来るだけ弱らせようという作戦があったのではないかと考えます。