さて、とうとう2018年になりまして、本格的にアルニス・サンデーが始動いたしました。
幸い、エスクリマ経験者の人々が来てくれていたので、基礎からアウトラインをなぞる形で練習ができました。
マニラのままの練習の仕方だと、ひたすらサヤウをやっていくのできっと日本人には単調で飽きてしまうと思うので、そこはアレンジをしています。
フィリピンの人達は練習中でも自分のペースで座って休んで話しだしたりして、やりたいひとだけやる、というのが平気なカルチャーなのですが、中々日本人にはそれは馴染みづらいでしょうから。
それでも内容としては非常に地味で、やっぱり前半はサヤウをずっとやりました。
本来はそれだけで十分なのですが、せっかくなのでタピタピというスパーリングのような練習も居れます。
現地ではあまりこれはしなかったのですが、どうしても、こういうゲーム要素のあることがしたくなってしまいます。
とはいえ、しっかりと基礎を積んだうえでするタピタピは、やはり反復したことを理解するうえで役立つと思いましたし、練習者の方々の感覚がどんどん変わって行ってラプンティ・アルニスの動きを使えるように見えてきたのが感動的でした。
始めはゆっくりのうちこみでも大変だったのが、慣れてくれば基本通りにしてればディフェンスは出来るのが当たり前であるのが分かってきて、だんだんいろいろな技が繰り出せるようになってきます。
きちんと基礎をがっちり守るところから初めて、少しづつハードルを上げてあげながらチャレンジの機会を設けてゆくと、人間はどんどん出来るようになってゆくみたいです。
このようなことから、エスクリマを本当に体得するには師匠とマンツーマンでするべきだという考え方もフィリピンにはあるようです。
一家に伝わるファミリー・アートであったことを考えると、それも納得のゆくことです。
古伝のエスクリマの多くは、攻撃に対して打ち返すということの繰り返しであることが多いそうです。
師匠側の打ち込みの速度や角度が次第に厳しくなっていって、弟子の側はそれによって導かれてゆくという練習体系なのでしょう。
そのようにして体から体に伝えられたものは、体系や分類を知識として理解はしていなくても、しっかりと受け手の中に残ってゆく物だと思います。
我々のタピタピというのも、おそらくはそのような練習方法の延長にあるものだと思います。
これはバリンタワク系の派ではパラカウというのですが、練習者二人はタイではなく、片方が攻撃側、片方が防御、迎撃側とスタンスが分かれています。
おそらく師匠と弟子時代の形式なのでしょうね。
これでひたすら撃ち込まれて、弟子側は自分のエスクリマを身につけてゆくわけです。