うちは、南派拳法とさらに南の武術、アルニスを練習する団体のため、アルニス専門の練習日以外は両方の練習をします。
とはいえ両方やるのは希望者のみで、基本、功夫は希望者だけがやります。
と、言うのも、中国武術は深いし結構な覚悟と気合が無いと体得が難しい。
本当に好きで身につけたいと思っている人でないと、きっと意味を見つけられないと思います。
とはいえ、実際に功夫を希望しても、最初は結局アルニスをやることになります。
なぜなら、功夫をやる上で始めにどうしても作らなければいけないのが下半身で、平馬と言う低く腰を割った姿勢が基本の立ち方になるためです。
その姿勢から動きを行うため、それができないともう練習ができない。
そうなると、功夫を入門した人はひたすらその姿勢を練習時間継続できるまではほかに何もできません。
これはつまらない。
もし、これをおろそかにしてすっ立ちで形だけ行えば、まずは本当の威力を出すことができません。
そして次には、下半身が出来ていないのに上半身の力任せに思い切り技を行うと、その負担がすべて腰に来ます。
ちゃんと立つことが出来ず、お尻が出てしまっていると、上半身と下半身がバラバラのために、その中間の腰椎にすべてのツケが廻ってきてしまうのです。
多くのスポーツ選手や肉体労働者が腰を傷めるのはそのためです。
なので、まずはしっかりと下半身を作ってそのようなことが起きないようにしないといけません。
腰痛は深刻な障害となります。
何もせずにただ下半身を鍛えていると、単調で苦痛すぎるので、せっかくならその間に手は何か別のことをして、頭は別の方に気をそらしていれば、同じ時間をおもしろく過ごせると私は考えます。
そのためのアルニスです。
アルニスをしながら下半身を鍛える。
下半身の強化は時間がかかるし、根性でやると膝などを傷めるだけだから、自分のペースでやっていってくれればいいですからね、と言ってこれまでは功夫をやってきたのですが、ほとんどの人がさぼって自分で下半身を鍛えたりすることはなく、なんの進展も見られなかったので、いまの形にしました。
いつまで経っても誰も私より低くならない。
私などは、技術では師父に追いつくことは当然出来なくても、肉体だけなら鍛えてれば勝手に新陳代謝してゆくから簡単だろうと思って姿勢の低さだけは必死になって追いかけた物ですが、多くの人はそういう風には考えないようです。
自分で自分を向上させない人に伝えたところで、功夫は体得できるような物ではありません。
そこで、アルニスをやりながらちゃんと立てるようになった人にだけ功夫の伝授を開始するようにした次第です。