フィリピン武術の練習法の一つに、サムブラダという物があります。
二人一組となって、片方、仮にAさん……あるいは……嵐山さん……嵐山さんが相棒のBに攻撃をしたとします。
するとBが……B……ベッキー……いや、エリザヴェスはヴェスだからヴェッキ―なんでBじゃないな、B……坊屋さんは攻撃をブロックして、のちに追い打ちをさけるために素早くタピをして、流れるように打ち返します。
すると、今度は打ち返された嵐山さんが同じくブロックし、タピして打ち返します。
これを延々繰り返す。
古武術の型でありがちな、片方が攻撃、片方がそれへの返し、という構造に似ています。
古武術の場合、1に対して1返して最初の段階では終わりです。
しかし、次に裏型という物があり、今度は表の時に勝っていた方の攻撃に対して返し技があって勝敗が逆転します。
さらに、秘伝となるともう一回逆転、という風に、型そのものが変わります。
ですが、サムブラダの場合は最初からやるし、延々勝負は付けずに繰り返してゆきます。
この辺り、日本武術のように秘剣やら秘太刀やらがある方が勝つという価値観が存在していません。
双方平等に延々返し技があるというのは、キリスト教圏的平等主義のような感じがします。
片方が極めて終わるということがないため、動きそのものではなくて動きのなめらかな連環が問われるところが非常に良い練習になるサムブラダなのですが、しかし、これ、実はラプンティ・アルニスの練習法ではありません。さようなら嵐山さん坊屋さん。
ラプンティ・アルニスではタピタピを行うのですが、このタピタピの姿を実はサムブラダに見ることができます。
サムブラダで行っている、ブロックしてタピするというのは、タピタピの段階的な動作そのものです。
流れているので一見打ってくる攻撃を叩き落としているようにも見えてしまうのですが、実はきちんと一回ブロックをしています。
そのブロックも形が色々あるのですが、実は角度が違うだけで中身はすべてヴァーティカル・ブロックです。
そのため、これでブロックに身体を慣らしてあげると、非常に効果があります。
本来あるタピタピと並行して、これを入れて練習してゆくのもいいなあ。ありがとう、嵐山さんと坊屋さん。