地上において、戦争にかこつけて仙や超人たちを神に封じる役割をになった太公望ですが、この方法と言うのがズバリ「殺す」というものです。
人が仙となる方法の一つに、屍解という物があります。
これはスター・ウォーズのオビワンと同じもので、死して肉体から解放されると魂が仙として独立して生きてゆくことになるという物です。
これと同じことを強制的に行うことで肉体から魂を引っこ抜いて、そのまま365名の魂を神に任命してしまおうと言うのです。
その任命された名簿のことを封神傍と言いますが、そのために中国ではこの物語を封神傍演義ということも多いようです。
そのために、中国で神として知られている人はこの名簿に載るわけですが、その中には地方で信仰されていた土俗信仰の対象や、民族神話の登場人物などが含まれています。
つまり、各地の信仰がこうして大きな道教世界に取り込まれていったのだという過程を作ったのですね。
周の軍師として封神計画に参加した太公望に対して、殷王朝の中枢についた妲己もその一人です。
これは日本でも有名な九尾の狐です。
どうも彼女の伝承はもともとインドにあったようなのですが、そこからスカウトされて紂王が欲情した女神に似た姿を借りて紂王を誑し込み、彼を悪政に導きます。
その結果、国が乱れて良心的な家臣らから叛乱が起きて戦争につながってゆき、ひいては易姓革命となるので実に重要な役割の存在です。
彼女はその後、日本に来て玉藻の前としてまた国を傾けてはあの陰陽師の安倍晴明に退治されたことになっています。
その時の調伏の訓練が伝統神事の犬追物になっていたり、亡骸が那須で石として残っていたり、うしおととらに登場したりしているのですが、封神演義ではこのような天界の工作員のような形でピックアップされています。
このようにしていろんな物語を集めてサーガにしているのが演義物というジャンルの特徴です。
そういう地方のスターを集めてオーディションして、HSB365として神に封じているわけですね。
次回もまた彼らを取り上げたいと思います。