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封神演義について 5・タイムスリップする神々 李靖親子

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 封神演義という物語を知っている人は、ヴィジュアルを思い浮かべてみた時に、本当に古代の風景で想像する人はそんなに多くはないのではないでしょうか。

 横山光輝先生の漫画では割とリアルに古代中国として描かれているかもしれませんが、有名な講談はじめ、多くの物語ではずっと後の時代のビジュアル・イメージになることが多いと思います。

 その原因の一端となっているのが、のちの時代の神様の存在でもある気がします。

 代表格の一人は、李靖という神様です。

 これは神様になってからの名を「托塔李天王」と言います。

 モデルとなったのは、もっとずっと後の唐の時代の李靖将軍です。

 紀元前にまで歴史をさかのぼって物語に出演してしまっている。

 また、彼のエピソードと言うのが実に風景描写につながるものなのです。

 彼の家庭内でのいざこざが描かれるため、その城や登場する奥方様やお子さんたちの服装などがどうしても唐の時代の絵面になってしまう。

 さらに、そのお子さんと言うのが実はとても重要な存在なのです。

 その子を那吒と言い、元々はインドの神様であったようなのですが、中国で大人気の童子神となりました。

 これ、李靖の奥さんが天にお祈りした結果生まれた人造人間で、宝輪に乗って空を飛び、念ずればインドらしく顔が三つに腕が八本になるわんぱくな少年神というキャラクターなので人気が出るのも分かります。

 また、父親と仲が悪く、李靖を殺そうとして追いかけまわしたりするという暴れ者の要素があるのですが、これつまり、孫悟空のプロトタイプともいえるキャラクターです。

 実際、西遊記においては斉天大聖孫悟空が天界で大暴れをしたときに迎撃に乗り出したというライバルのような存在でもあり、その後も何度か旅の途中で登場しています。

 このために、彼等親子が出ると一気に唐の時代の匂いがしてきてしまう、というのは私だけではないのではないかと思います。

 また実際、道観において描かれている姿でも紀元前の古代人のイメージとしては描かれていないために、カラフルな天界のヴィジュアル・イメージが封神演義にはついてまわる印象があります。


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