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練功と体型

 一年ぶりに会った学生さんからもでかくなったと言われている昨今です。

 肉体労働者の相棒、ワークマンさんの3Lのアウターがもう着れない……どんどんおかしな体形になってきているのですが、どこか見覚えのあるような……モンゴルのブフをやっている人たちの体型に似てきていました。

 肩の関節部や鎖骨など、骨がどんどん肉でおおわれてシルエットのとがりがなくなってきています。

 これは中国武術家としてはとても良いことです。

 骨を主体とした運動を消して肉で丸くなってゆくというのは正しい成長です。

 そしてこれがブフの人たちのようだというのは歴史的に考えても正しいことです。

 多くの中国武術が、ブフの影響を受けて発展してきたと言います。

 特に震脚系の武術はその直系であると言います。

 西洋的な分類で言うならボクシングの身体とレスリングの身体は違いそうな物なのですが、実は中国武術は根本は組技なのだという説さえあるくらい、身体の分類でいうならレスリング系の身体が適していると思われるのです。

 と、いうのも、瞬発的に屈伸運動をしたりスキッピングをして相手を打つ体ではなく、相手を投げたり投げられそうになるのを残ってしのぐような地面への強い安定の力が威力に直結しているためです。

 中国武術が、ボクシングのフットワークを取り入れたムエタイや剣道の足さばきを取り入れた空手道とは全く違う、べたついたような足の遣いをするのはその顕れです。

 とはいえ組技と言ってもその中で瞬発系の肉体と持久系の肉体で違いが大きいのでしょうが。

 一般に、柔道やお相撲などは瞬発力が強いとされているようです。

 レスリングや寝技柔術などは持久力が必要でしょう。

 筋肉の付き方で言うなら、レスリングや相撲は推す力、柔道は引きつける力が必要だといいます。

 中国武術にもっとも適しているのは、持久系の筋肉と推す力の発達でしょう。

 これらは抗重力筋群であるという話もあります。

 ただひたすら立つとか重りを持って立つなどという中国武術の練功は、全般にその辺りへの方向性が見られる物だと思います。

 伝統武術家にはずんぐりした体形が多いというのは、このようなことなのではないでしょうか。


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