陰陽思想における気とは、男女の和合における性の力の調和だと言われています。
生まれ、育ってゆく命の力こそが気です。
とはいえ実際には、私やほかの拳士が、女性と居ると体が重くなってしまうということを経験しています。
よく整体の人が「もっていかれる」とか「もらった」と言う症状を口にしますが、そのような状態になってしまいます。
最近までそれは、好転反応なのだろうと思っていたのですが、整体師の学生さんから新たな説が出てきました。
一般に女性は、私のようなものと比べれば呼吸が浅いことが多いわけですが、二人で長時間一緒にいると、その呼吸に同調してしまうのではないか、という物です。
これは思い当たりました。
私は以前、「気が木みたいになってる」と言われたことがあります。どうも、自然の中で一人で働いている人にはそういう人がいる、とのことだそうです。
よくわからないけど面白いな、という程度に思ってきたのですが、人間の動物的部分である元神が様々な環境に反応することが気功の基礎なのだとしたら、そういうことはあると思うのです。
樹木もまた、養分を吸い、呼吸をしています。
我々の気功では、木と水があるところが、気功をするのに最も適していると言われています。
これもおそらく、木と水の流れが自分の体の呼吸を同調させるからでしょう。
特に個人的には、そよ風があるときのゆっくりと揺れる木の葉の動きは呼吸に影響が強く感じます。
これで、気功の実践者はゆっくりとした深い呼吸が身に付くのだと思います。その結果、膜の伸縮もゆっくりと大きくなり、功夫があがるのでしょう。
そのような人間が、自分より小さく呼吸の浅い女性と長時間いては、やはり調整が狂ってもおかしくはありません。
意外なところから気功の本質に迫る話でした。