うちの学生さんに、整体の専門家の方が居ます。
私は時々肩や首をひどく凝らせるので、その学生さんに診てもらったところ(ごめんなさい)、「思ったより腕が上がらなくて驚きました。稽古ではあんなに軽やかに動いているのに」という判定をいただきました。
私の体は長い稽古生活で、まんべんなく脱臼や骨折をしてきました。両ひざの半月板に至っては、すり減ってひと時は立てなかったくらいのものです。
しかし、それを体内の経絡の通る膜に勁を繋いで、それで稽古や日常生活を送っているのです。
見えないくらい速く槌を打ったり、ぽんぽん人を飛ばしたりしますが、決してスポーツ的な身体能力ではしていません。
これが中国武術のいいところです。戦いのための技の練習をしているのではなく、あくまで身体を良い状態にはぐくんで、気持ちよく生きられるようにするための効果が優先されているのです。
先の記事でも書いたのですが、技が成功するか否かではなく、それによって効果が出ることの方が大切です。
私たちの膜を使った勁力は、全身をボディアーマーで包むような物です。それで動作を補強するのです。これを日常の動きで行えるのは、大変便利な物です。
功夫は日常の中にある、とはまさにこのようなことでしょう。