今回のWSでは、特に立ち方にフィーチャーしました。
うちの根幹に迫った内容と言っていいと思います。
それも、あえてうちのとは違うやり方と比較検証してゆくという形を取ったので、他のやり方と混同せずに理解いただけたのではないでしょうか。
とにかく動き出ない勁の使いを、お互いに体を触りあって確認しました。
これをすると、単純に力を混めてスイッチをON/OFF式で筋肉を働かせるのと、勁の違いが分かります。
勁は電気や水が流れるように、ずっとぬるぬると体の中が動き続けます。それが、私の言う「膜」の働きです。
これによって、瞬発する一瞬の力ではなくて、働き続ける長い力を用いることができます。
きちんと骨格を据えて(抜骨)立った上で膜を伸ばして勁を働かせると、我々の用いたい身体の使い方になります。
これが出来ると、連続した動作で発勁が続けられます。
基本は前手→後ろ手のコンビネーションなのですが、これ、一発ごとに発勁をしなおさずに、一つの勁でただ手を交互に出すだけです。
これをやった後は、そこから靠につなぎました。
これも一つの勁で三連発に行います。
さらには同じ勁でそのまま掃腿を行うというところまでの練習をしました。
また、掃腿から別の形の掃腿という連環も行いましたが、これもまた一つの勁です。
この、切れ目のない一つの勁というのが鉄球の勁、暗勁の重要な点です。
とはいえ、この連続と同時に、一つごとの勁の強さも大切なので、最後にはすべてコンビネーションなどを否定して、相手が基本技の掃槌を受け止めたら、そのまま発勁を続けてぐしゃっと下に倒す練習でしめました。
相手がブロックしても、そのまま勁力を伝え続けてゆくのが我々蔡李佛の特徴です。これを、掃討力と言います。
これが上手くいくと、足をひっかけたり腰に乗せたりせずに、打撃のまま受け止めた相手をすっころばすことができます。
中国武術の好きな触っただけで相手を倒すシリーズですね。
このようなことを打摔拿という言葉で表現します。一つの動きは打撃にも摔(投げ)にも拿(関節技)にも活用される、という意味です。
今回の例では、うまくいけば相手を転ばすことができ、失敗するとたんにすっ飛ばすだけになりましたが、そこはどちらでも良いです。
大切なのは、タイミングや技を使わずに、勁力だけで相手にぶつかっていって効果をあらわすということです。その練習をしていれば、功夫が積まれて勁力は強くなってゆきます。
すべてはただ、きちんと立つことの練習です。
ただ立って、そのままぶつかるだけです。
天と地の間に、自分自身としてまっすぐ立つこと。それが私たちが武術を行うときの目標です。