チネイザンを受けると、内臓に籠っていた感情があふれ出すことがある、と言います。
特に悲しみが溢れることが多く、人によっては泣き出してしまうこともあるのだそうです。
そのような現象が起きるのが、この内臓への気功整体が感情のデトックス効果があると言われるゆえんの一つでしょう。
私もこの療法を研究するにあたって、当然人から施術を受けるわけですが、そのせいかこの数日どんどん悲しさが湧いてくる……。
単に、これは長く異国に居て自分の人生とゆっくり向き合っているせいで、私の人生の中核にある悲しみに直面して居るだけなのかもしれないし、あるいは帰ってから暮らしを変えようとしているからそれに伴う悲しみがあるのかもしれません。
しかし、もしかしたら本当にチネイザンのせいなのかもしれない。
私自身は初めそんなに気にしていなかったのですが、練習場に行くとフランスから来た素敵な老嬢の同級生が「あなた、疲れてない? 大丈夫?」と心配してくれたので、なんでだろう? と思っていたのですが、その後もすれ違う先生方から「大丈夫、先生?」と次々に聞かれまして。
どうやらこの分野を学んでいる人達には、何かが感じられているようでした。
悲しさは、公正さや勇気と表裏一体の気であるとされています。
悲しみを抱えているからこそ、公正さや勇気を持つことが出来ると言うのは私には納得の出来ることです。
だからそれが私の中の芯になっていることはとても重要でもあります。
同時に、この悲しみの気は肺に宿って負担を与え、消衰や息の切れやすさなどにつながります。
私がいつも疲れているのは頷けるような気がします。
もしかしたら、感情のデトックスによって体内に籠っていた悲しみの気が肺から放出され始めたのがずっと続いているのかもしれない。
物心ついてからずっと蓄積されてきた悲しみです。何十年分もに渡って募っているのだから、そう簡単に出尽くすとは思えない。
これはしばらく、溢れ出てくる悲しみとよく向き合う時間を過ごすことになりそうです。