キャリステニクスの話を続けまして、今回はムエタイにまで論を向けてみましょう。
タイ滞在中、ルーシーダットンの勉強のためにムエタイのワイクルーを観に行ったと書きました。
現代ムエタイは古式のムエタイと西洋のボクシングがミックスされて作られた物なのです。
その古式のムエタイのことを、ムエボーランと現地では呼びます。
しかし、私も調べるまでは知らなかったのですが、このムエボーランにはもう一つ古い名前があって、それをパフユッと呼ぶのだそうです。
このパフユッ、呼称の由来はカラリパヤットの中の素手の部門であるパーフユッダという名前から来ているというのです。
これだけでもムエタイがカラリパヤットから来ているということがうかがえるのですが、さらに言うとムエタイの開祖はラーマ王子だとされているというのです。
ヒンズーの冒険物語、ラーマヤーナの主人公のラーマ王子です。
当然、使う武術はカラリパヤット。
そしてこのカラリパヤットは、ヨガの武術としての側面だとされています。
ムエタイには、タイに伝わった仏教ヨガ、ルーシーダットンがワイクルーとして伝わっています。
これは恐らく、ボクシングと融合する前のムエタイではルーシーダットンで身体を作っていたということの名残ではないでしょうか。
カラリパヤットとヨガ、中国武術と気功、古式ムエタイとルーシーダットン。これらのアジアの武術の構造が同様なのは、一つの流れの上にあるからだということが、調べるほどに観測できます。