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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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伝人から見たドラゴン・ボール 3・妖怪仙人

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 前の記事で悟空の尻尾が仙骨であるということを書きましたが、冒険を始めたばかりのころのヴィランには、人間を術で変えるウサギや牛魔王など、動物モチーフが多用されます。

 これは単純に動物ではなく、尻尾がある=妖怪仙人であるという暗号がモチーフになっているものだと思われます。

 牛魔王は実際には兜をかぶっただけの巨漢であり、ヤムチャのような普通の不良少年にしか見えない者もいます。

 しかし、牛魔王もヤムチャも、おそらくは西遊記においても妖怪のモデルとなった、シルクロードの異民族の姿が透けてみえるようでもあります。

 そう考えると、牛魔王はこの中華的背景のマンガの中で、かなり初期に出てきた洋装のキャラクターであるように思えます。

 西洋的甲冑をまとって戦斧を持っているという西洋ファンタジー的な装いは、作中でも割に珍しいのではないかと思われます。

 シルクロードが、ローマから来た人々の住む街道であったことを思うと納得がゆく気がします。

 その姿に、動物の名前である牛を被せたことで、西遊記の妖怪仙人的な要素が立ち上がったキャラクターとなったのではないでしょうか。

 一方ヤムチャなのですが、彼は動物ではないし妖怪っぽくも西洋人っぽくもない。

 しかし、彼が孫悟空とブルマに危害を与えてくる要素は、得意のカンフーである狼牙風風拳と相棒のモモンガのような妖怪、プーアルによる術です。

 やはりここでも、動物の要素や妖怪、妖術と言った妖怪仙人の要素が積み重ねられています。

 中国の少数民族の中には、狼人、狼兵と言われる人々もいますので、その辺りが下敷きなのかもしれませんし、シルクロードの街、敦煌の兵士たちが多用していた兵器が狼牙棒と言うトゲのついた棒だったころから発案した物かもしれません。

 ちなみに、風風というのはフォンフォンと発生し、古代の戦争の時に相手を威圧し勝利を祈願する掛け声だったようです。

 また、発音の似た言葉ファンファンというのは「翻る」という意味で、現在でもアクション映画などで縦横無尽に殺陣を繰り広げることを「ファンファンファンって動く」などと表現します。

 そこから、ファンファンと動く拳法として翻子拳と命名された武術もあります。

 この、妖怪仙人とカンフーという組み合わせで言うと、三人組の敵役、ピラフ一味というのも居ますが、これはもうなんだかよくわからない妖怪としか言いようがない外見のピラフ様という頭目の下に、忍者の装束をまとった犬の部下が居ます。

 中国の人にとっては忍術もカンフーなので、彼もまた立って歩く動物=妖怪仙人とカンフーの組み合わせのキャラクターです。

 ここにあげた一同、みんなまとめて底の浅い盗賊団です。

 この辺りまでの敵役は、純粋に西遊記の影響が極めて強く思われます。

 

 

 

                                                                          つづく


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