彼我の接点を活用して、向かってくる相手の力に対応した陰の力の流れに乗って自分の力を相手の内側に侵入させる。
これがきれいな借力の仕方です。
しかし、これには二つ難点があります。
一つは相手の力の流れが分からない。
もう一つは力の入れ方が分からない。
これらに関して、私は柔をやっていたので当たり前に出来るのですが、そうでないと確かに苦労するようです。
そこで、感覚を体験するためのレッスンをしました。
相手に首を絞めてもらったりして行う練習です。そうすると必然力の方向が特定されます。
となればその力が読みやすい。
これで一つ目の問題は解決です。
もう一つは、体重を活用します。
体重を相手に向けることは本来勁に関してはタブーなのですが、あえて一度それを犯してもらいました。
本来の内側の力を向けると言うのが難しいならやむをえません。体重を向ければそれが相手に向かうというならそれでよろしい。
やってみれば効果てきめんで、サクサクときれいな借力が掛かってなんの力感もないのに相手がその場に沈んでゆきます。
おっかなびっくりやって変な力を使ってしまうよりは、一度体重を使ってでもこれをやって実際の経験を積んでみれば、それをたたき台に内側での力の使い方が分かります。
これが出来るようになったら、今度はちゃんと自分の定力をしっかりと維持して、体重を使わないで勁を用いて同じことをするようにします。
これは「線を細く使う」というもので、もう外側からは完全に見えません。接触してる面積の中での小さな働きで重心を操作してゆきます。
つづく