どうも、また一つ大きな変化があったようです。
このところ、精の上昇がとても強くなっていました。
気功学では、まず心臓の脈拍が始まったところから中丹田が外の気を吸い、体内に巡らせ始めるといいます。
このうち、陰の気は重くて沈むので、臍下にある下丹田に降りてゆき、陽の軽い気は上に登って脳にある上丹田に至ります。
下丹田の気を精と言い、生命の根源的な活動の力となり、上丹田に登った気を神と言い、思考活動の根源となります。
この二つの力を合わせて精神、すなわち人間の内面とするのですが、この精という物は生命と種の維持に重大な役割を持っています。
すなわち、子孫を残し、育てるための生物的な力の活用です。
医学的にも利己的遺伝子という言い方をされるように、これは生物の最重要課題です。
特に人間は他の動物と違って一年中生殖が行えるため、生殖能力には常時大量の気が向けられています。
しかし、多くの場合これが性交に用いられることはなく、消費期限が来るまで備えられたのち、廃棄されることがほとんどとなります。
養生の根本は接して漏らさずと言うように、性交によってこの精を刺激して活発にすることは生命力を活性化させるのですが、これを外に出すことは命を削ることになります。
利己的遺伝子は本体の命をすり減らして次代に遺伝子を繋ぐことを最優先するので、ここに関して本体の健康は本能的に顧みられることはありません。
なので、浪費して生命を浪費するのではなく、これを活用しつ命を健やかに保とうということを昔の気功では考えました。
それが、環精補脳という物です。
これは、気功によって精の気をもとの気に戻し、さらには上昇させて神の方に回すという物です。
インドのヨガではこれをクンダリニー上昇と呼んでいます。
この行の重要なところは、神に大きな力をつぎ込む結果になることです。
物事をありのままに捉えることの不得手であったり、情緒が不安定であったりする人間に突然多くの力を注ぎこめばどうなるでしょう?
精神はその過剰な力を持て余してより不安定になり、自律神経失調症や統合失調になります。
これを、禅病やクンダリニー症候群などと言います。
そのため、物事を正しく認識する思考力である、識を高める行を先にしておく必要があります。
そのようにしてしっかりとした人格を作っておいた上で初めて大きな力を受けとめることが出来るようになります。
気功では小周天という、体内の気の循環を良くする行を体得することで、この下地を作ります。
開通された小周天の水路に乗せて、精気を上昇させ、そして今度はまた下に下ろすという循環でまんべんなく全体の気功力を上げるのです。
私たちの会では、武術においてはこの小周天までで一区切りとしています。
しかし、気功を追求するなら、そこからさきのこの精気の上昇を加えることになります。
これを、黄河大逆流と呼ぶのだそうです。
ちょっと笑ってしまうような呼び名です。
最近この、精気の上昇がより強くなっています。
性交時のゾクゾクするような性感を任意で引き起こし、それを背骨に沿って上にあげてゆくことが出来るようになりました。
このようなカテゴリの気功を房中術と言いますが、おそらくはポリネシアン・セックスやスロウ・セックスなどはこれに共通する物であると思います。
我々の派の流れでは、上座部仏教の交合仏によって表現されており、行としての性交によって識が高まって大智を得られて、悟りに至ると考えられています。
つづく