練習をしているときによく起きることに、生徒さんが勝手に止まってしまうということがあります。
それに対して常に、ゆっくり動くようにと私は伝えます。
なぜなら正しいことが大切だからです。
ゆっくり動くということは、ゆっくりだけど動いているということなので止まってはいけない。
しかし、そういうと今度は動き続けようとしていきなり素早く動こうとする人がまぁ大概多いのですが、それがいけない。
結論から言うと、素早く動こうとするから止まるのです。
結局、多くの人間は素早く動こうとするとき、あらかじめ着地点を想定して動いています。
初めから着地点を想定してそこに急速に到達して停止しようとする。
ということは、その場合は目的は停止であって過程でたまたま動いているということが出来ます。
そういうことではありません。
動き続けることが大切です。
動いているからタオであり、力なのです。
宇宙は常に動き続けてあり、本質的には停止と言う物はありません。
その力の働きを理念として中国武術は設定されているので、 停止という人間が勝手に便宜上決めつけた物は本質に合致しないことになります。
そういうエゴを否定して、ゆっくりでも限りなく動き続けるという自然の働きを模倣する。
そこに意識を合わせるために、ゆっくりと正しく動こうとすることが大切です。
速く動きたいときには、それを早回しにするだけです。
拙速に着地点にジャンプするような動きはするべきではありません。
そこに、長勁の本質があります。
外見だけしか見て取れないと、短い距離での動きはピクリと痙攣して急停止したように見えるかもしれませんがそうではありません。
中では力が出続けているのです。
これが分からず見様見真似をしまうと、痙攣して停止となってしまいます。
停止した時には力は死んでいます。
外形だけの動きは死んだ動きです。