ジョギングの健康効果の一つに、脳への震動があるのではないかという研究結果が発表されたようです。
私などが子供の時などは、とにかく脳は揺らしてはいけない、ヘッディングをすると脳細胞が一万個死ぬなどと言っていたものですが、軽度の震動であるならかえって良いのかもしれないという見方も出てきたのでしょうか。
これ、実は東洋医学では昔から言われていたことです。
私たちが宝として珍重している物に、八段錦という気功があります。
その最後の動作に、脳に震動を与えて健康効果をもたらすと言う物があります。
我々の間に伝わる伝承では、これは万病に効くと達磨大師が言い残したと言う仮託があり、とても大切にされています。
達磨大師の伝説はともかく、八段錦自体は宋の時代から伝わっているとも言われています。
日本では、太極拳が普及したときに持ち込まれたと聞きました。
どうやら、太極拳の動作が複雑でお年寄りがたには覚えるが非常に難しかったため、一動作事に分けられた八段錦が代替されたというのです。
そのようなきっかけで広まったために、八段錦は初心者がやる簡単な物だとみる人も多いようですが、本物をきちんと学ぶならその内容の豊かさが大変な物であることに驚かされます。
少林の二大重要事項である易筋と洗髄を兼ね備えており、瞑想としても有用であるのみならず、武気功として行えば少林拳の根本がそのままつかめてしまうような物です。
私が先に宝だと言ったのはそのためです。
うちで拳術を学んで一年ほどするころ、多くの生徒さんは「そうか、拳術はみんな八段錦を組み合わせて出来ているんだ」と気が付きます。
得勁と換勁、そして用勁に至るまでの段階が、口伝を受ければみなそこから学べます。
そのような気功の最後の一動作に、脳への震動が入っている訳です。
それが万病に効くというのは、脊椎への震動で髄液の循環が良くなって免疫系と自律神経に良い影響があるという、カイロプラティックと同じ理由なのかもしれません。
昔の人が残した物がみな正しいとはまったく思いませんが、存外正しい部分も多いと言うように思っています。