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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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中華的停滞の恩恵

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  以前、西欧では冷戦時代に「自由主義と共産主義の抗争が終了したら人類の歴史はそこで終わる。あとは大きな核心はなく、小規模な闘争が起きながら日常が続く」という論がアメリカで唱えられていたということをご紹介いたしました。

 そんな彼らは、19世紀には列強と呼ばれていました。

 当時はのちにソビエトとなる国はまだロシアで、中国大陸を巡って彼らは闘争をしていました。

 そんな彼らは、中国文化に対して「中華的停滞」という言葉を使って状態を表現していたそうです。

 これは、殷や周という古代王朝から続く歴史観を彼らが継続して、その時と同じ時間の流れを継承しようとしていたことを指していたようです。

 その後、大戦が終わり、冷戦が終わりました。「歴史の終わり」が訪れたのです。

 これも以前に書いたことですが、歴史の終焉間近にもっとも活発になった思想運動の活動家がその後亡くなってゆき、90年代以降は本物の文化に触れていない、インスパイアのインスパイアがあふれている、と言ったのは作家の村上龍氏です。

 彼は音楽家の坂本龍一氏の対談において、本物の芸術は一流の物を見て、聴いて、接してきた人間からしか生み出されない、と語っています。

 ここで振り返りたいのが「中華的停滞」です。

 中国には今でも、レジェンド・クラスの達人が居ます。

 それは最先端の総合格闘技の技術やトレーニング理論とはまったく違う世界の物です。

 そのような物に触れることが出来るというのは、とても幸せなことです。

 私自身も、総合格闘技をしていた時代に本物の伝統武術の達人たちに強力な発勁を体験させてもらって、結果いまに至っています。

 それはコンビニエントであったり、ファストであったりするものではありません。

 時間の過ごし方そのものに意味があるような、伝統的な生活様式からくる文化の一端です。

 生き方が変わるというのは、そういうことです。

 本物に触れることが出来る。そのことはとても大きな力を持っています。


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