アンドリュー・ジャクソンから現代社会のこの中流幻想、文化帝国主義が始まっているということを書いてきました。
これ、別に私だけの独自理論ではありません。
現代アメリカにおいて、歴代大統領や歴史を見直そうという運動があって、その中で展開されている理論です。
本物の伝統と歴史のある文化が、デッドコピーの偽物文化になってしまい、本物の人間が偽物人間になってしまうと言う危機感がある。
これはなぜでしょうか。
それが、ジャクソン大統領の意図した「普通の人々」のための社会だからです。
高等な教育を受けた一部のヒトや、高い知識のある人達しか持てない専門技術を廉価版のデッド・コピーで代替することを「大衆化」と言います。
そしてこれはプロテスタント、資本主義の基本的傾向であるようです。
というのも、産業革命そのものがそういった物であり、初期からのプロテスタント国であるドイツが産業主義に先鞭をつけ、結果機械と大衆化された技術によって多くの職人が職にあぶれて失業者が大量発生し、結果戦争を起こすしかなくなったということは以前にも書きました。
資本主義、産業化、大衆化は他国への侵略と言う帝国主義につながるのです。ジャクソン大統領の政策はおそらくすべてそろばんづくのものであったと思われます。
ジャクソン大統領は被差別階級のアイルランド人出身の初の大統領でしたが、同じく被差別階級の黒人種初のアメリカ大統領であるオバマ大統領は、彼の政策をひどいものだと否定しました。
なにせ、あの湾岸のブッシュ・ジュニアへのカウンターとして大統領になった人ですから、そういった帝国主義への批判は当然重要です。
ジャクソン大統領は、20ドル紙幣に肖像が描かれている大統領です。
オバマ大統領は、ジャクソンの顔を20ドル札から無くそうという活動をしていました。
その政策が通り、ようやくジャクソンの思想を離れた世界の象徴に出来ようかと言う時に、トランプ大統領に世代が変わりました。
トランプ大統領は、ホワイトハウス入りをした最初の日に、執務室にジャクソン大統領の肖像画を掲げました。
彼が、一番尊敬していて理想として目指しているのがジャクソン大統領だと言うのです。
そして、ジャクソン紙幣の廃止案を差し止めました。
トランプ大統領は、南部のアメリカ貴族たちを政治的なバックボーンとしています。
ジャクソン大統領はその権威を解体したいわば政治思想からすれば因縁の敵のはずです。
でも彼は、ジャクソンを理想として彼のようになろうとしているのです。
なぜか。
それは、ジャクソン大統領の「普通の人の政治」が、何も考えない感情論と数の理論だからですよ。
これを、ポピュリズムと言います。
トランプさんは、ジャクソン大統領の政治の中身ではなくて、何も考えない人に寄り添って扇動して大衆の力とするというやり方を、自分の理想だとしている訳です。
もう政治信念とかないんですよ。
ただの方法論なんです。
とにかく得さえすればそれでいい。偽物人間、偽物文化、偽物社会が都合がいいのです。
それに対していま、大きな反発が起きています。
ニュー・ノーマルと言う新しい世界に移行しようとしていて、これまでずっとゾマホンさんらに「アメリカは反省しない」と言われていたのが、自省して内側から変わろうとしているのです。
他人事ではありません。
アメリカのサイドにある国の人間は、みんなアメリカ化されているからです。
本物の人間として生きていますか?
みんなと同じでなくて、本物の自分として今日を過ごしてきましたか?
つづく