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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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伝奇的な話の続き

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 前回に書いた話の続きです。

 昔、日本の中国武術のパイオニアであった先生が、「蔡李佛は特別だ。やっている連中もそう思っている」ということを書いていました。

 南派嫌いのその先生にしては非常に珍しいことです。私自身は蔡李佛を始めても、何が特別なのかよくわからないと思ったままスルーしていました。

 しかし、いまにして思えば、前に書いたアレがあったためなのかもしれません。

 元々、蔡李佛というのは焼き討ちにあって失伝しかけた少林の伝統を引き継ぐために編纂された物です。

 そのために、少林の奥伝が備わっているのは不思議ではない話でもあります。

 いま少林寺に残っているこれを見ると、明らかに他の少林拳とは違う勁がうかがえます。

 そしてその勁というのが、私が日ごろ言っているうちの独特の勁のようなのです。

 蔡李佛でも、そもそもは重勁など、勁にも段階があります。その段階の上級にある鉄線の勁が、この少林の奥伝の勁です。

 うちでは平素から、いきなり奥伝を始めていたという次第です。

 中身はそこだったのです。

 私は別に、何か特別な物をしたいとか人が秘密にしている物が欲しいなどと思っていたわけではありません。

 ただ、この勁を使うと大変に気持ちが静かになり、心地が良いのです。

 それで今までやっちていた武術をみんな捨てて、後の人生はこれだけを静かに打って暮らそうと思っていました。

 そのために師父に「もう色々な套路は要らないので、一生一つだけやって生きてゆきますからそれに適したのをください」と打ち明けたところ、大師に相談してくれました。

 その答えが「○○というのをやってよいという許可が出ました。けれどこれは高級套路なので、まず他の套路を全部やってから教えるということです」というものでした。

 結果、私は想像もしていなかったことに師父になりました。

 そのために、私が教授するすべての動きは、その勁で行われるようになったのです。

 もともとこの少林の秘密の物は、門内では問わず話さずの箝口令が敷かれていたそうで、私のように違う名前で知らぬ間に伝えられていた者が居たり、形は他の拳でも中身はそれになっていたりということがあったと思われます。

 名をかくしてひそかに保存されていっていたのでしょう。

 少し調べてみると、元々は座禅で滞った気血を巡らせるための物だったそうです。

 それをして「護法の宝」と呼んでいたと。

 やはりね、私が普段言っている、静かに心地よく暮らすための物だったようです。


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