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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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ちいさなところで現れる。それにひっかかる。

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 先日、ある若い女優さんがインタビューを受けているところを耳にしまして。

 そこで「これからはどんな役をしてみたいですか?」と訊かれたその女優さんは「もう30なんで、身体が動ける間にアクションをしてみたいです。こう、戦う、サイコパスみたいな」と言ったんですね。

 それで、は? と引っかかりまして。

 なるほど。と次に思いまして。

 この女優さん、画面をすごく持たせる力があって、大画面で何もしゃべらないでたたずんでいるだけで感じる物をこちらに伝えてくる、すごく才能のある女優さんだと思います。

 私は日本映画はあまり見ないのですが、彼女の作品は映画館できちんと見たことがありました。

 それだけに残念だし、しょうがないなあと思いました。

 さて、もしかしたらここで読んでいる皆さんの中には「女優さんとはなんだ、エシカルではない。俳優さんだろう。女優なんて言い方は性差別的ではないか?」と感じた方がおられたかもしれません。

 その通りです。私は彼女を見下しているのです。

 若い女の子でしようがないな、と思っているのです。

 サイコパスでアクションってなに? っていうのがその理由です。

 サイコパスってのは要するに、発達障碍者のことでしょう。

 発達障碍者はアクションをするって認識、すごいおかしなものです。

 もちろん、既存の作品からくる文脈上の連想を段階をすっ飛ばして言葉足らずに口にしただけだと思うのですけれど、いや、関心できない。

 だから軽んじているのです。残念です。

 サイコパスって言葉が世に広まったのはそれこそ、ポリコレと同じ90年代だったと記憶しています。

 FBI心理捜査官のブームで犯罪と犯罪心理、および障害の関連性という物が問われるようになった時代に出版された本がその火付け役だったと思います。

 それまでね、プロファイリングと言う物が捜査においては重要とされて居て、後天的な学習や社会環境によって人は行動をするもので、犯罪もその視点から操作が可能である、と言う意見が強くありました。

 しかし、そのような統計的な物をひっくり返す視点もまたありました。

 それまでは、連続殺人というのは白人男性しか起こさない犯罪だと思われていたんですね。

 それも、知能が高くて魅力的である、というようなプロファイルがされて居た。

 この類型をキャラクターとして投影したのが、ハンニバル・レクターですね。

 けれどもすぐに、女性の連続殺人鬼が居たり、アフリカや韓国にも同様の犯罪者が存在することが判明してきました。

 さらに衝撃的だったのが、人気漫画「バキ」に登場した最凶死刑囚の一人のモデルとなったリチャード・スペックの存在です。

 彼の連続殺人を追っていたFBI捜査官は、それが典型的なハンニバル・タイプの犯罪者の仕業だと思っていました。

 しかし、実際には粗雑な証拠から逮捕に至った犯人の姿は、いつも拳に酒場での喧嘩の傷をつけているような粗暴な大男だったのです。

 単なる頭の悪い地元の典型的な底辺男で、知性的とはほど遠い。

 逮捕後の調査で判明したのですが、彼の知能は八歳児程度の物でした。

 これには本人も「バカだバカだとは思っていたが、まさかそんなにバカだったとはな」と呟いたとの逸話があります。

 これがサイコパスです。

 脳の発達が遅れていてよくわからないまま衝動的に行動を起こしてブレーキを持ち合わせていないままに窃盗や殺人を犯してしまう。

 確かに酒場の喧嘩でアクションシーンを繰り返していたのでしょうが……あの女優さん、こんな役がやりたいの?

 実際の彼の映像の中には、拘置施設の中で取り調べ中に急に隣にいた男とセックスを始めてしまうという物がありますが……。

 以前、東直巳氏の小説に書かれていた「ヤクザは過大評価されているけど元々地元の村でどうしても人前で股間を見せびらかすのが止められなかったような連中が引き取られているようなところだ」と評価を引用したことがありましたが、サイコパスってそういうことよ?

 全然かっこいいとかそういうことじゃないんじゃないの?

 かっこいい?

 あんまり各地でそういうおじさんたちのニュースが出て小学生たちに警戒が促された時に「え! セーラー服おじさん出たの!? かっこいい!!」って声聴いたことない気がしますけども。

 なんかね、そういう「サイコパスかっこいい」みたいな感性、いかにも薄くて浅くて中身ないなあ、って感じます。

 元祖サイコパスの映画「サイコ」の主人公ノーマン・ベイツだってそういう愚鈍で引きこもりでマザコンで女装癖のある人だったでしょう。

 前述のレクター博士が、そういう浅い部分をうまく救ってヒーロー的なキャラクターとして演出はされていましたが、原作のレクター博士って結構粗暴で、身体的特徴として極めて小柄で一目でちょっと異様な感じを受けるって人物だったと覚えています。

 でもって、別に知的な完全犯罪者とかでもなくて、いきなり噛みついたりナイフで襲い掛かってきたりと言うだいぶ雑な行動を繰り返しています。

 おそらくはそれが、サイコパス・アクション・ヒーローの初期の一歩だったと思うのですが……ほんとにそんなのがいいの?

 ホントにそう思うなら、たっぷりそういう囚人たちの所に面会に行って勉強すればいいと思うけど、どういうことかリアルに考えてる?

 昨今もそういうアホすぎる雑な行動で人命を幾つも奪った人たちの犯行やその後の死刑がニュースに良く上がってますけど、そういうのがあなたはかっこいいと思ってるのね?

 被害者の皆さん、沢山いるよね。

 こういうのが引っかかると言うことで言うと、ある女性歌手が自分のラジオ番組で新譜の告知をしていたんだけども、それが「今度の新曲、のタイトル、Can’t blease って言うの。意味深でしょ、ウフフ」って笑ってたんだけど、笑えるかそんなの。

 もともと職人歌手的な人で、あまり本人の意思とかはなく与えられた曲を与えられたプロデュースに則って仕事するタイプの人だとは思ってはいるんですけど、いや、もうこの番組聴けない。

 楽しい気分になろうとか何かを学びたいと言う気持ちで人の話を聴いているので、こういうったことがあると私は消費はしたくなくなるんですよねえ。


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