これは、台湾の名門武館で二十年も修行をしている友人から聞いたのですが、人間というのは生まれてきた時にはまだ体が閉じていないのだそうです。
母体と一体だった状態から分かれて独立した直後は、気功で言う穴所がいくつか開いているのだといいます。
その一つが頭頂にある百会のツボで、そのために赤ん坊の頭蓋骨というのはまだしっかりとかみ合っていない柔らかい状態であると解釈しているようです。
このような大きな例だけでなく、全身の経絡上にあるすべてのツボが、子供の頃は大人と比べて開いていて、活性化しています。
それが成長をするにつれて少しづつしまってゆき、成長期が終わったころにはかなり閉じ、その後も硬く締まり続けていって、完全に閉じたときが寿命なのだと言います。
気功というのは、この穴所の凝縮を和らげて開いてゆく作業です。
これによって身体の筋肉や筋などが柔らかくなり、身体を通る血液などの体液、酸素などの流れが良くなって生理活動が活性化するという考え方です。
表現として言うなら、神経のつまりも取れて通りがよくなります。様々な感覚がよりヴィヴィッドになり、自律神経の交換は円滑となります。
こうなると、自分で身体が柔らかくなったように感じます。
凝りなどはこの気の詰まりだと解釈しますので、何かの拍子で肩が凝ったときなどは、そこが固くなるのを敏感に感じられます。
やわらかな体でやわらかに動いて暮らしていると、大変に気持ちが良いものです。