ぎっくり下丹田を発症した日は、動くたびにうなりを上げながら仕事をこなしました。
ズキンと神経を締め付けるような刺激が走りますが痛みでは無いですし、関節では無くて下腹の膜がメインなので身体に悪い物ではないと思っていたからです。
通常、このように膜が消耗した時には東洋医学の「同物同治」の思想に則ってハラミ肉を導入します。
大抵、私たちのスタローさんに行って豚ハラミを大量に食べることで回復資材を投入するのです。
たれはレモン汁です。
レモンのクエン酸が膜の硬直を緩和するので昔から武術家の回復には珍重されてきた物です。
あぁ、ありがとうスタローさん。
しかし、今回はスタローさんにまで足を運ぶ力も出なかったので近場で食事を済ませて帰宅して早々に休みました。
のですが、夜中に目覚めました。
お腹が苦しい。
というか、硬直が痛さにまで至っています。
腹筋が暴走してゆで卵が割れそうなくらいに固まっています。
そのせいで、内臓が圧迫されてお腹が痛い。
困った、トイレに行きたい。
行ったら行ったで今度は出ません。
ソフビ人形状に鍛えるはずの身体の膜が超合金になってしまって内臓を締め付けているので動かせない……排便が出来ない……。
頑張っているうちに「ヤバい!」と新たな衝撃が突っ走りました。
お腹の痛さのストレスが胃の腑に繋いで吐き気が漂ってきました。
それがやがて激痛に変わって、今度は上からドシャ―ッ! と胃液が噴出してきました。
下から出して楽になりたいのに、まったく出ない。上からは繰り返し痛みのストレスでバシャ―ッ!!
七転八倒で朝を迎えました。
翌日は、喉が痛い、体力は消耗している、おまけに仙腸関節のこわばりが痛みにまで成長していてダウン状態となりました。
その日はちょうど、週に一度の老師のオンライン・レッスンの日でした。
昨年から人に会わず、レッスンも開いていない私にとっては、学問の日々の中心となっている日です。
身体を動かすのは危険そうなので、見学として参加しました。
が、しかし、どうも、仙腸関節、少しづつなら動かした方がリハビリになりそうな気が……。
反動のつかない制御された運動でほぐしてゆける感じが……。
そして、この日のメイン科目は、なんと白鶴拳……!!
この詳細については稿を改めますが、今回の記事で重要なのは、白鶴拳は同じ鶴拳類である五祖拳と較べて、明らかに勁を用いない、柔らかくて丹田の使用が少ない物であると言うこと。
これは……ある意味丁度いい……。
この拳は五祖拳を始めるときにその基礎として少しだけやった、私の五祖拳においてのいわば開門拳。
しかし、すぐに五祖拳を少しづつ教えてもらえるようになったのでほとんどやっていなかったのですが、あらためてしっかり中身を一つ一つ教えてもらえると、実に感動的だ……。
海賊武術の、いわば中核と言ってもいい鶴法の真実が目の前に……。
いや、稿を改めるのでした。
今日は丹田のお話でしたね。
もう翌日になる下腹のぎっくりはまったく無くなったのですが、仙腸関節のはかすかに残りました。
とはいえ、リハビリをして解すとまったく問題がなくなります。
ただ、また寝るとその間に固まるので、もう翌朝にはまた悶えることになりましたが、そのたびにリハビリを繰り返して二、三日を経てほぼ回復しました。
しかし、そこで気づいたのですが、腎臓の勁や肝臓の勁のラインなどの膜もずいぶん突っ張っていました。
これはどうやら、単純に下半身への負担へのカウンターとして仙腸関節に負担が掛かっていた、というだけの単純な物ではないようです。
この覚えのある内臓の勁の疲労は、そうか、もう、七夕の頃でしたか。
夏なのです。
夏は紫外線で内臓が日焼けして硬直が激しく、消耗が著しい季節です。
そのせいで内側の膜がとても攣りやすくなるという、内勁を使う人間には危険性の高い季節です。
曇りつづきだったのですっかり忘失しておりました。
これは天地の陰陽の切り替わりという、節の変化からくる攪乱であったようでした。
内傷一歩手前の負担を自分で掛けてしまって、明らかに膜を損なっておりました。
もっと秘薬ことキレートレモン様をあらかじめしっかり入れておけばよかった。
練功による膜の疲労にはこれが良いと初めてここに書いたのはもう十年近く前でしょうか。
これとワークマンさんのイージスに関しては、もう草創期からの愛用者です。
これから真夏というころ、本当に気を付けなければ。