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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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伝統はモチベーション

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 昨日、靠で学生さんたちをバシバシと懲らしめたら、なぜかやる気がわいてきたらしく、本日もワークショップの事前に稽古をしたいという申し込みがありました。

 どうも靠の威力が気に行ったようです。

 普通に考えれば、体があった上で、そこに生えている腕で殴れば威力が加算されてゆくわけですが、我々の勁は本質的に身体が持っている勁を腕に通して打っているだけなので、身体で打っても威力は変わらない。拙力を使っているのではないのでそうなります。

 しかし理屈ではそうでも、実際にやってみると身体で相手を打つと言うのは、運動が小さい分タイミングが取りづらいので打ちづらいものです。

 そこで一生懸命ならして、タイミングを可能な限り使わないで打てるように練習します。

 体の中で小さな時間と動きの単位を作っていって、精密な動きを意識できるようにしてゆく練習が兼ねられます。

 これで小さい動きでしっかりと強くミートする感覚が養えます。

 こうなると、腕の力で打つのとはまったく違う充実感が味わえます。

 身体そのものの内側の力を明確に感じられて、それで強く打てる。こうなると、自分の身体への感覚が変わってきます。

 この力を使って相手を体幹でぶん殴る。本当に、分かりやすく腕で力任せに殴るのと似たよう確かさが育ってきます。

 これをしていると、何か自分がいわゆる格闘技とは違う、伝統的な物を体得していっているのだという感慨がわいてきます。

 この気持ちが悦びになってきます。

 あまり秘伝をやっているのは自分だけだ、というような卑屈な悦楽にこじれてしまうと良くないのですが、それとは別に、個人ではとても得ることのできなかった知恵を身に宿すというよろこび得られます。

 これは、自分個人による悦びではなく、学究として真理に向かっていっている、という手ごたえだと思います。

 この気持ちが人を向上させ、知る前は持っていなかった自由にしてゆくのだと思っています。


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