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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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BOOMER

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 老害、という言葉を取り扱ったことがありました。

 私自身、そのような言葉はバカが使う物であり、そんな安易な言葉で他者を悪者にして自分の不安から楽になろうとするような連中が、間違いなくその後「老害」になると見立てている次第です。

 この、老害と言う概念、実はアメリカにもあるそうです。

 英語では「ブーマー」と言います。

 ベイビー・ブーマーのことですね。

 これまでは団塊の世代と訳されてきたのですが、その世代が現在では老人になっています。

 彼らの両親は戦中世代で、大戦から復員してきた兵士たちが次々に結婚して子供を作ったので、大量に出生率が上がったのですね。

 そうして新たな戦後世代の社会と共に歩んできたのがブーマーです。

 しかし、それだけなら何も害ではない。

 老害なんて失礼な言葉には当てはめるべきではありません。

 でも、ちゃんと英語圏でもブーマーと言う言葉は昨今、老害として扱われているのです。

 単なる戦後段階世代を意味するブーマーに、老害のニュアンスを強く印象付けたのは政治の世界ででした。

 ニュージーランドの議会で、20代の女性議員が彼女の案にヤジを飛ばしていた年長議員たちに対して「OK Boomer」と返したのがきっかけだと言われています。

 若造が、小娘が、というような視線に対して「はいはい、老害ども」とあしらったような形であったそうです。

 以後この言葉は流行語となり、現在に至っています。

 さらにこれを盛り上げたのが、サタデー・ナイト・ライヴでのコント。

 HIPHOPのPVっぽい画像で、ブーマーたちが若者たちに中指を立てて「自分たちは豊かな時代を送った、バブルは楽しかったし不動産も買って勝ち逃げだ、ワクチンだって優先摂取されたし、あと始末は任せたぜ若造ども」と舌を出すような内容になっています。

 単なるバッド・ジョークとは言い切れないのは、彼らがサブプライム・ローンなどの金融問題を引き起こし、人種差別や搾取構造を規定し、環境を破壊して残していった負の遺産がすべて、この三十年にのしかかっているという事実があるためです。

 SDG'Sというのは結局、それらの問題が臨界点を迎えているのでまとめて解決してゆこう、という取り組みですね。

 グレタ・トゥーンベリさんが最初に大きく取り上げられた時、一目見て発達障害がある子が下帰国している様から、私は極めていかがわしい物を感じました。

 実際、現在でもそれが完全に拭われたわけでは無いのですが、しかし彼女の怒りは世代的に正統な物である、というのは恐らくは事実です。

 彼女の「大人たち」への怒りは明白にいまの問題とその対策の本質に沿った形での物であるように思います。

 現在の日本の首相も、COPにおいて旧態依然とした対策論を口にして、見事に時代遅れを意味する化石賞という物をもらいました。

 賞というのはジョークで、実際は廊下に立たされる時に持たされるバケツのようなものです。

 化石、つまりは古臭い、老害的発想と言う意味で、先端の取り組みから「OK Boomer」と言われたに等しい物でしょう。


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