先日、スポーツライターの方がラジオで話してらっしゃるのを聴いていたところ、面白い言葉が耳に入りました。
現在注目している野球選手が、身長190センチ、体重110キロであるのに、175センチ90キロくらいのバランスの動きをする、ぎこちないところがない、というのですね。
これは面白い。
私はスポーツを観ないので無知なのですが、世間の皆さんはプロ野球選手が非常に大きいということをご存知かと思われます。
私の鍼灸の先生は、昨今のプロ野球選手がメジャーでも通じるのは欧米人にも劣らない体格の選手が出てきているからだと言います。
そういう基準の世界では、175センチ90キロというのが「動ける」体格だと見なされるのですね。
普通の成人男性の基準から言えばこれはいささか鈍重である数値でしょう。
私が現役で格闘技をしていたころは、もっとも強いのは160センチ台の選手たちで、これは層が厚かったから競技人口が多い分、洗練された選手が出てくるのですね。
物理的なお話でいうなら、体重は60キロ台が良いとされていました。
170センチ台の私は59キロから61キロでした。
それが引退してから62・4キロから落ちなくなり、太ってきたかな? と思っていたらもう二度と戻らなくなりました。
二十年以上のこの時代の格闘技界の基準は、恐らくもっとも層の厚いプロ格闘技であるボクシングのデータを下地にしたものだったのではないかと思われます。
プロではありませんが人口の多かった柔道や相撲では、無差別級がありましたからデータの参考にはならない。
レスリングではやはり、160センチ前後で軽い階級の選手が強かったように印象しています。
その視線で見ると、175センチ90キロはいかにも思い。
当時、プロ興行が始まったばかりのkー1では80キロ台の選手がヘビー枠に参戦したりしていました。
軽い階級は当初Kー2、Kー3と呼ばれていましたが、やがてそれでは日本人が勝てないことが見えて来て、K-1MAXなどと言う軽い階級の企画に改められました。
175センチ、90キロは、バランスとしては現在の私と変わらない。
身長はあと少しで175だし、体重もあともう何キロかで90キロです。
体重に関してはキャリステニクスで増量した分もありますが、それも中国武術的なアジアの身体操法にがっちした身体であるためです。
中国武術の先生たちはえてして体重が重い。
これはもう民国初期ごろから、北派の先生たちは身長も高くて大きいし、南派でも「北の人たちは体格が大きいのでまともに戦ったら北方人の方が強い」と言いながら練功でガチムチの体格にしていっています。
昔の武術化の記録映像を見ると非常に細い老師の姿も見られますが、それは個体差および、傾向としての食糧事情でしょう。
イギリス領となった香港では欧米化が進んで洋食が通常化した結果、中国全土で最も不健康で寿命が短い地域となったというデータがありました(現在ではそのデータに基づいて大幅な改革が行われて成果を出しているそうです)。
肥満で寿命が短くなっては論外ですが、内側からの練功によって大きくなった身体というのはある種の中国武術家の典型です。
とはいえ、同じバランスでも個体として大きくなるとどうしても動作を引っ張ることがあるようです。
極端に言うなら軽功のようなことは出来ない。
競馬や体操の選手なども大きい人はダメですね。
これを私は重力とのバランスとも呼んでいるのですが、これらの中から中国武術は重い方を傾向として選択した、ということなのでしょう。
遺伝子的に先天的に軽い人たちは選ばれし者として軽功が継承できる。
小耳に挟んだところでは、中国共産党が創作した表演競技の中国武術(武術太極拳)でよしとされているアスリートたちがみんな小さいということが話題になっているそうですが、それはつまり、体操をベースに創作した結果だからでしょう。
このように、個体の大小によって地上における動作性には差異が出ます。
その一例としての面白い映像がこちらです。
私の好きな筋トレ系ユーチューバーのさくらちゃんという子が参加した、筋トレユーチューバーの運動会動画です。
彼女は140センチ台のマッチョと言う珍しいタイプで(ついでに言うならギャルというのも珍しい)、動画の中での運転風景でもハンドルとの比較が珍しい映像となっているのですが、他のマッチョたちもまた「使えない筋肉」と言われている人が動く姿を見せてくれていて非常に興味深いです。