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あらためてタオについて 2・白人優位主義の始まり

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 前回書いた今回の記事の執筆の動機その2ですが、これはですね、実際に私が人に合ってタオについてお話をしても、どうしても話が通じない、ということが多々あるというものです。

 初めに明言しますが、私はビリーバーではありません。

 タオの思想を伝統文化の研究者として愛好してはいますが、私自身がそちらの思想に信仰を抱いている、ということはありません。

 あくまで過去の記録としての意味情報を他人に話している過程で、現代人の思考のプロテクトのような物にぶつかるという経験が何度かあったのです。

 決して相手が頭が悪いとか、話題に関心が無かったから、とかそのような場合ではありません。

 相手も理解をしようとしていて、まったく話が通じないということが割にあるのです。

 典型的な例としては、性に関する話題があります。

 タオの根本を成す陰陽思想では、陰と陽という言葉の通り、女性と男性と言う概念が重要な価値観の土台となります。

 この時、現代日本人はどうしても女性=下位という概念を心深くに抱いているらしくて、陰とは劣った物だ、良くない物や間違った物、弱い物だ、という考えになります。

 私が大好きなスター・ウォーズは東洋思想を上手く取り入れたニュー・エイジの代表作だと思いますが、最大の欠点は闇を悪とイコールのように描いていることです。

 そういうことではない。

 それだったら、陽の思想で済んでしまうのですよ。

 世の中には陰という悪い物があって人はそちらに引っ張られるけれども、誘惑を払って光に向かうようにしましょう。という教義であるなら、これはなんも陰陽思想ではない。

 ただのキリスト教やそこから派生した西洋物質主義で良いのですよ。

 さらに言うならそこから生まれた共産主義の唯物思想でも良い。

 陰陽思想と言うからには、陰と陽を対等にすることに意味を見出さなければレーゾンデートルに反するところです。

 前回書いた理由1に繋がるところなのですが、この物質主義にある思想がスピリチュアルなので、当然彼らの文化盗用においてはタオの言葉はそのような濫用をされることがありえます。 

 彼らの「信仰」においては物質とエゴの充足着地点となるため、当然陽が優位の「前提」が揺らぐことはありません。

 そういう浅はかなことではないのです。

 スター・ウォーズを浅いと言わなければならないのは残念なところですが、単なるファンの少年から歳を取って伝統思想の師父に成長した証の成長痛と受け止めましょう。

 人は恐らく、正しく成長をしたならばスタート地点を相対化して否定する時を迎えるものなのでしょう。

 それに、浅さや深さとは関係なくスター・ウォーズは面白い。(←このように、優劣高低を問わず平等に扱うと言うのが陰陽思想です)

 光と闇の二元思想であって光を求める、というのは光の神、アフラマヅダをあがめるような信仰としてアジアにもありました。

 これは中東を中心に発展していた物ですね。

 中東と言うと現代人は文明の遅れた未開の紛争地帯と言ったような見方をしてしまいますが、忘れてはいけないのは現在の段階で人類史をリードしている白人文明というのは中東から起ったと言えるということです。

 白人史のスタートはギリシャ文明となっていますが、これは中東のオリエント文化から影響を受けている物です。

 ギリシャのポリス文明と並ぶ当時の世界最大の文明がペルシャ文明です。

 ギリシャがまだポリス同士で戦争をしていた時代に、すでに統一帝国を拓いていたペルシャがクセルクセス王の時に、ギリシャも支配しようと侵略してくる、というのはザック・スナイダー監督の映画「300」で描かれていますが、劇中のテルモピュライの戦いが起きたのがこの時ですね。

 当時スパルタはアテナイと並んでギリシャの中では発展した強国でしたが、それと較べてもペルシアというのは強大な文明を誇る大帝国として描かれています。

 映画の中ではスパルタ兵は300人だとして描かれていますが、実際にスパルタ軍の総戦力が300人だったということではありません。

 これはスパルタ市民の数です。

 ポリスにおいて政治に参加する権利を市民権と言いますが、これを持つ人たちが市民です。

 彼らの生活は各自の奴隷によってなりたっています。

 奴隷と言っても後の黒人奴隷のような物ではなく、勤め人と言ったような感じです。

 市民たちが会社経営者で、奴隷たちはその私益単位に勤めている労働者だと考えると現代人にもわかりやすいと思います。

 300人のスパルタ市民は、各自が雇っている私設警備の軍隊を率いていました。

 スパルタと言うのは軍事国家で、男児は兵士として育てられます。

 この300人は各自軍閥の将軍のような物ですので、それぞれに手勢を率いています。

 ギリシャ、ローマと言うのはこのように常に外敵と戦ってきた文明ですが、この時に志願兵となった人は市民権を獲得できたと言います。

 これは現代のアメリカでも同じですね。軍隊に志願して従軍するとアメリカ市民権が獲得できる。

 この、ギリシャ、ローマの志願兵と市民権の歴史がつまり、白人優位主義の発祥だと私は観ています。

 つまりは元々、白人種の文明のルーツとされて信仰されている時代そのものが、東夷との拮抗下にあったからです。

 日本の幕府が朝廷から離れて欧州征伐に出た軍隊がそのまま独立自治政権化してしまった、みたいな話で、東洋との戦闘単位という協力体制そのものが西洋という概念となった。

 そしてその構造の中に、あらかじめ自国優位、有色敵視と言うイデオロギーが含まれていた。

 当時のオリエントと言うのはそれくらいに発展していたんですね。

 しかし、現在では中東と言うのは石油資源でどうにか持ってるだけの野蛮で遅れた古臭い後進国だと見なされがちです。

 その後進文明であると見なされる理由の一つがやはり紛争であり、もう一つが男尊女卑でしょう。

 中東の多くの分明では一夫多妻制であり、富豪が沢山の妻を持つというハレムの制度が知られています。

 ここで観られる女性蔑視が、遅れた社会の価値観だと見なされて全体が後進的な物だと見なされる、というのは納得のゆくお話です。

 少なくとも我々は戦後から男女は平等だというお題目をGHQから下知され、パラダイム・シフトの現在になってようやく本当にそちらに向かおうと言うムーヴメントの最中にあります。

 牛丼屋さんの役員による女性への問題発言が問題発言と見なされるのは、まさにその過渡期の彼我を目の当たりに刺せてくれるようです。

 ちょっと長くなりましたので、性の話を次回に続けます。

 

                                               つづく 

 


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