最近、身の回りの人に気功療法をする機会が幾度かあって。
そういえば、三年前のパンデミック以前、私は師父からそれを学んでいる段階にあって、百人以上みなさいと言われてやっていたんですよね。
そんなことを思い出した物です。
幸いなことにこれまではどうも比較的結果が出ているようなのですが、そうすると時々、相手に「どうして効果があったの?」と訊かれるのが困ったところです。
うーん。
分からない……。
私は原理主義者にはなっていないので、気功の教授で教わった物をそのまま人に伝えることには気が引けます。
自分の解釈でどうにか相手に伝わるように咀嚼したいのですが……うーん、難しい。
前提としては、私が効果を出すことが出来るようなこととは、そんなに物理的にすごい悪い物ではないんですね。
骨折とか腫瘍とかに影響が及ぼせる気はしない……。やったことないけど。
私が手を出してるのは、主に自律神経に関係している物だと思うのですね。
これは、症状が出ている当人自身が病因になっていると言える状態な訳です。
そうなってしまう原因と言うのはおおむねオーバーワークであったり生活の過負荷だったりすると思われます。
おそらくはそれで、ホルモン分泌とか神経の切り替えとかが芳しくない状態になって、それが病状を作っていると思われる訳です。
このような時は、当人が原因なので私程度でも何かが出来るんですね。きっと。
当事者の中では、間違って自分を悪くしてしまっている生理状態にしているベクトルの力と、正常に治りたいと思っているベクトルの二つが存在している訳です。
この時に、私は相手の身体に働きかけて、自分を悪くしてしまっている力をおさめて、良く成りたがっている方向の力を助長すればいいのです。
二つのベクトルを牧羊犬のように誘導するんですね。
悪くしてしまっている力は寝付かせるようにして弱めて、良く成りたがっている力は行きたがっている方向にいかせてあげる。
元々、失調さえしていなければ人体と言うのはいい方向にいくように出来ているので、私自身は誘導以上のことは出来なくても効果があることがあるのだと思うのです。
では、どうやって誘導するのか、なのですが、これは恐らくは人体の持っている協調性の習性を活用しているのではないでしょうか。
私自身、日々の気功の瞑想によって、外の世界との協調をしている訳ですけれども、元々人体には外界と協調する習性、あるいは機能が備わっている訳ですよね。
煩い環境に居ればイライラするホルモンが出ると言うのもそうですし、怖ければ冷汗が出るというのもそうです。
美味しい物を口にすれば唾液が分泌されるし、お風呂につかれば力が抜ける。
欲情の対象に接すれば性的機能が起き上がってきますし、幸せなセックスをすれば涙が引き出されます。
私程度の気功による療法というのは、こういう部分へのアプローチをしているのだと思います。
これ、武術で言うと借力(ジェーレ)ですね。
相手の中にある力の流れを読んで、そこに協調する。
東洋医学はホリスティック(総合的)な物で、相手の人格を含めた全てが関係しているというのは、こういう部分を言っているのではないかなあという気がします。