師父から教えていただいたこと
ある老師が「武術家として大切なことは、後ろめたい気持ちを抱かないで良いように生きることだ」と言われていました。 これは何をしてもかまわないという厚顔無恥になってうしろめたさを感じるな、ということではもちろんありません。そうとも取れるのでちょっと一旦困るのですが。 八月、日本での一日の新規感染者は毎日20万人を越え、世界最悪の数字を記録していました。...
View Articleギリシア幻想 1 ホワイト・ウォッシュ
私は「日本一話の面白い武術家」を目指して活動しているところがありますが、最近ではもう一歩進んで「面白い話屋さん」になりたいと思っている節があります。 これは、以前に妖怪の話か何かを書いたときに触れた気がするのですが、私の原体験というのが大人たちから面白い話を聴くのが大好きだった、ということであるためです。 そのまま自分で本を読むようになり、いまに至っています。...
View Articleギリシア幻想 2・グリーシャン・ゴッズ
我々がイメージするギリシャのヴィジュアル・イメージと言えば、一つには石膏像ではないでしょうか。 当然素材の色のままに真っ白で造形された人物の姿は、白人種を象ったのであろうと無意識にメッセージしてきます。 しかし、実際にはそんな真っ白なギリシャ人などは居ませんでした これらデッサン素材の石膏像は、あくまで美術の授業で必要な利便性の都合上、結果白になっているだけです。...
View Articleギリシア幻想 3・シングルマザー女神問題
前回はヨーロッパの内陸部に居た元ギリシャ人たちが地中海際に移住してきて、そこに彼らの信仰していた神々をもたらしたことで古代ギリシャ文化と言う物が始まった、ということを書きました。 しかし、実はここからが面白いところです。 原ギリシャ人たちの神話では、大神ゼウスの妻であるヘラ神が居なかった。 彼女は元々、古代ギリシャの言葉で言うトロイ、いまのトルコの辺りの女神だったというのですね。...
View Articleギリシア幻想 4・性と英雄
さて、前回は元々は単体でトルコで崇拝されていた女神のヘラが、ゼウスとまぐわうことなく単身で生み出した怪物テュホンのことを書きました。 この邪神とも言える巨大な怪物は地上の怪物たちの王で、地上の覇権をめぐってオリンポスの神々と大戦を繰り広げたほどの力を持った存在でした。...
View Articleギリシア幻想 5・ヘラクレスと東洋武術
前回はギリシャ神話の代表的英雄、ヘラクレスのことに触れましたね。 このヘラクレス、若い時にヘラの報復を避けるために身を隠して育てられたそうです。 彼を育てたのはギリシャ人ではなく、ケンタウロスだったと言います。...
View Articleギリシア幻想 6・ヘパイストス
ヘラクレスはアジア文化の継承者であるという記事を前回書きました。 これは非常に興味深いことです。 というのも、今回のシリーズ記事の最初の法に書いたように、ギリシャ神話の歴史と言うのは、白人優位主義によって歴史改ざんされて来た物です。 ホワイト・ウォッシュ化された中で、最大の英雄がアジア文化の継承者であるという伝承が遺されている。 これは面白い。...
View Articleギリシア幻想 7・古代ギリシャの悲観主義
今回は軍神アレスのことから始めましょう。 アレスは、イケメンです。 イケメンで腕自慢で手癖が悪くて残酷だという、アメリカのドラマに出てくるフットボール部に居るいじめっ子みたいなイメージの神様です。 一方で彼の美点は「身内には優しい」という物で、典型的な俗悪な権力者そのもののような造詣がうかがえます。...
View Articleギリシア幻想 8・身体哲学
誰も最終回を知らないギリシャ神話ですが、どうやらトロイア戦争が現状最後のエピソードだとされているそうなんですね。 その終戦後から自分たちの歴史が始まっていると古代ギリシャ人は考えていたらしい。...
View Articleつけたりファルス信仰
ギリシャ→ローマという世界史的な、哲学から感情の時代への移行について書いてきましたが、最後に最近上がって来たこちらのニュースをご紹介しましょう。 遺跡から巨大な「ペニスの彫刻」が発見 古代ローマにおける過去最大級か -...
View Articleパキスタンのこと
現在、パキスタンの洪水が大変なことになっています。 私の所にもこの週末になってようやく国連難民高等弁務官事務所から募金窓口の案内が来ました(こちらが使いやすかったです)。 パキスタン洪水 緊急募金 (国連UNHCR協会) - Yahoo!ネット募金特定非営利活動法人国連UNHCR協会の募金ページ | Tポイントでも寄付できます。donation.yahoo.co.jp...
View Articleソローに思う
ソローの「森の生活」を読みたいなとパンデミックに入ってから思っていまして。 というのも、ソローは前の世界が造られた時に、そこに疑問を持って社会から隠棲して外側から世の中を見ることで歴史に名を残した人だからです。 彼自身は偏屈物でチャーミングな変人と言った感じで、生活費を淡々と描くような日記として「森の生活」を書いているのですが、この書は現代資本主義の根幹を指示した名著として読み継がれています。...
View Article気功と回復、それから武術
最近、身の回りの人に気功療法をする機会が幾度かあって。 そういえば、三年前のパンデミック以前、私は師父からそれを学んでいる段階にあって、百人以上みなさいと言われてやっていたんですよね。 そんなことを思い出した物です。 幸いなことにこれまではどうも比較的結果が出ているようなのですが、そうすると時々、相手に「どうして効果があったの?」と訊かれるのが困ったところです。 うーん。 分からない……。...
View Article鍼と陰陽
以前に、鍼医者をされている師兄に教えを乞うた時に、肩に一本打ってもらいました。 その時、「旋捻刺法?」と訊かれたたのでそれを習っていると答えたところ、捻じりながら鍼を刺してもらえました。 これが、私が初学者として教わっている鍼を捻じりながら刺してゆくという手法です。 他にはどのような刺し方があるのかと言うと、送り込み手法というものがあるのだと先日教わりました。...
View Article市民の自覚 自己の確立
最悪の安倍政権を望んだ「民意」とは? 「国葬」の正体を本気で考える《白井聡》(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース 7月8日に銃撃、殺害された安倍晋三元首相の国葬をめぐって、国論は二分しています。国葬の評判は、はっきり言ってかんばしくない。どの社の世論調査結果も、過半数の国民が国葬実施に反対していることを示してt.co こちらの記事が、非常に鋭い物で大変驚かされています。...
View Article長拳の技法雑感
現在、老師から基本の拳として弾腿を教わっております。 この拳は査拳と合わせて査拳弾腿と呼ばれることがあったりします。 また、それらを含めて長拳と呼ばれることが多い。 こと、花拳縫腿の表演武術と混同されて侮られることが多く、また「まだ基本の長拳なんかやってるのか」とその手の表演武術(?)家が見下すのを聴いたこともあります。...
View Article長拳の文化雑感
前回書いた弾腿のルーツは査拳と共通だという説についてちょっと書いてみましょう。 この説のソースは、1983年に香港で出版された、馬振邦という先生の「十路弾腿」という本だそうです。 査拳の祖は査密爾という人で、明代の拳士です。 新疆ウイグル地区の回民(ウイグル人)で、明朝の命によって倭寇征伐のために東海に旅立ち、その途中に立ち寄った山東省で武術を伝えたとされています。...
View Article現代人と言う特異性 1
さて、四月からホグワーツに通うようになりまして、久しぶりに世の中の人と日常的に関わっています。 元々日が沈んでは眠り、日が昇っては起きて一日中表に居るという生活をしていましたので、現代日本人の暮らしに歩を合わせるということは実に久しぶりのことになっています。 その中でつくづく思うのは、現代日本の平均的社会人像と自分の間の大きな差異です。...
View Article現代人という特異性 2
前回は産業革命によって、現代人の肉体と言うのは人為的に作られたということを書きました。 それは均一化をもたらしましたが、同時に専門性の喪失をも意味していました。 産業革命以前の身体操法を古武術などと呼ぶのはこのためです。 以後の物は現代武道と言いますね。 これはつまり、素人の肉体に適した平均化のための教育を「武道」と呼んだということです。 よって、現代武道には秘伝は無い。...
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