さて、前回はダンスを通して英国人の帝国主義が描かれているということを書きました。
余談ですが、主人公二人が踊る神のダンス、あれ、アフロ・ラテンの刀の神、オグンのダンスにそっくりなんだけどコリオグラファ―が意識したのかな?
それとも文化的に繋がっているんだろうか。
話を戻しまして、そのように大傑作映画「RRR」の身体文化の面からの解説を、アジアの身体文化研究家がしてゆくという主旨で書いているこのシリーズ記事ですが、今回は先に触れた映画冒頭での事件について書きましょう。
映画の冒頭で起きるその事件、これ、つまりは人身売買ですね。
ヘナという植物の染料で身体に模様を描く文化に興味を持った総督夫人が、それを描く少女の母親にコイン二枚を渡す。
しかしそれはその仕事への対価ではなくて、少女を買い取るという料金で、そのまま女の子を連れて行ってしまう。
で、自分の家でずっとメイク担当として働かせるということなんですけど、これ、現代でもずっと行われていることですよね?
後進国と呼ばれる国における、児童労働、人身売買、奴隷労働というのは非常に重大な人権問題となっています。
ではなぜそういうことが起きたのか。
これ、白人種が資本主義の下層とするために、他国を侵略していったためですよね。
現在、かものはしプロジェクトさんというところがインド周辺国での児童売買に対して働く活動をしているのですが、そこの団体の報告によると、女の子一人の値段はおよそ一万円らしいんですね。
60分一万円じゃなくて、一人買うのにだそうです。
ですので、この団体ではひと月1000円から募金を募集していて、売られる少女たちを買い取って救うという活動をしているそうです。
こういう環境を作ったのが、大英帝国です。
「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」の記事でも書きましたが、英国紳士というのはそういうことをする人たちだったということです。
彼等プロテスタント系資本主義者以前の、カトリック国による世界進出では、武力による侵略が行われていました。
でもこれ、武力蜂起で反逆されちゃうんですね。
そこで、プロテスタント国では資本主義を活用して契約で人間を買いたたいて、アンフェア・トレードで合法的に世界を侵略してゆくんですね。
映画の中で繰り返し「大英帝国の銃弾一発は6シリングだ。インド人の命より高い」ということが語られますけど、これ、そういうことなんです。
それに対して「そんなのおかしいじゃねーか!」と革命を起こした時代のお話なんですね。
つづく