「漬物クライシス」をご存知か?
数年前、Oー157が流行した時に、浅漬けからも検出されて死者が出るほどの大事になりました。
対策が検討され、結果、お漬物を作るには他の水道と共有をしていない、それ専門の工場を必要とすることが法令化されようとしています。
これが通ると、一般の店舗で作られているようなお漬物や、農家で販売しているような物は流通が停止します。
しかしこれには二つ大きな問題があります。
一つは、そもが浅漬けというのはお漬物でないということです。
あれはある種のサラダ、マリネであって、本当に漬けたというには行程に差異があります。
そして、本当に漬けた場合はどうなるかというと、塩分の浸透によって水分が出されて、食中毒の発生率は極めて低いということです。
つまりこれ、元々やろうとしていたことと全然関係ないことをしてしまっているのですね。
皆さんにも覚えはないでしょうか。
バカが集まっている会議で、そもそも何のための話をしようとしていてなんの話をしているのか分からなくなってしまっているという経験は。
これ、完全にそれなんですね。
元々の対象に「浸け」という言葉が入っていたという印象論だけで、その定義づけがされていなかったためにまったく関係ない結果に着地してしまっている。
これが一つ目の問題。知性が論理的整合を果たしていないということ。
もう一つの問題はもっと直接的なことになります。
これが施行されると、先にも書いたように多くの小規模業者がお漬物を販売できなくなります。
そうすると、一定規模以上の資本によって成り立っている企業以外はお漬物が流出させられない。
専用の工場って大変ですよね。
結果、現在の日本で通底して起こっている資本家優位、小規模事業圧迫の風潮にまた一例が加わることになります。
結論から言うと、また格差が開くんですね。
これ、現状日本の(というかより言うなら世界的な)一大問題であるにも関わらず、またわざわざそれを拡げようとするようなことをしてしまっている。
小事に囚われてより大きな規模の問題を悪化させているんですね。
こうやってこの国はずっとやってきました。
反知性主義、愚民化政策というのは、どうしても利己主義になり、お互いの不利益を作りあって分断が進みます。
私個人は過渡期の分断は必要だと思っていますが、確実にその間、国力は弱体化し、犠牲者が増えます。
それが嫌な人は、頭がいいやり方を支持した方がいいんじゃないかな。