最近ツイッターで、有名プロレスラーが行った過去の総合格闘技の試合に関する動画が流れてきました。
ツイートの主旨は、総合格闘技と謳いながら明らかにプロレスをしているという批判でした。
それに対して「当時はまだ区別がついていなくてこれをガチだと思っていたんだ」というコメントもついていました。
ほーう。
まぁ、それぞれ年齢の違いがあるから確かにそういうこともあるでしょう。
しかし、当時一定の年齢にあった識者は、あれがプロレスだということは分かっていました。
当時隆盛してきていた総合格闘技と言うムーヴメントに乗っかり、そこに知名度のあるプロレスラーを出して、プロレスラーは強いんです! などと言うパフォーマンスをしてプロレス興行にもうまみを分配しようという興行的な嘘であるということは分かっていた。
にもかからず、というかだからこそ、マスコミは虚構を糊塗してよく言えば演出、素直に言えばただの嘘をでっち上げていました。
格闘技マンガの第一人者だった先生は、武術について記した著書の中でそのプロレスラーの名前を出して批判をしていました。
そのような誠実な発信もある半面、大多数の消費者がマスコミのフェイク祭に乗っかって大喜びをしていていた様を見て、私は大衆の愚かしさに嘆息し、こういう連中が戦中も悲劇を加速させたのだろうと思っていました。
そういったインチキ格闘技ブームの中、モキュメンタリー番組から出てきたモデルあがりだかのタレント格闘家は、同様の興行の中で外国の誰も知らないアマチュア大会で優勝したような市民選手をさも強豪であるかのように演出してリングに立たせて、それをショーアップした倒し方でパフォーマンスするという最低の反知性主義を数回繰り返した後、早々と引退してまるで自分が一流のスター選手であったかのようにふるまって、いまでいうフランス在住のひらがなの名前の人のようなスタンスに駆け抜けてゆきました。
その見え透いた仕草に私は「この人、絶対政治に寄ってく予定なんだろうなあ」と感じていました。
いま彼は、反ワクチン関係の一人となっています。想像通り。
この人こうやって一生、騙されやすい人たち、いや、騙されることで生きていける人たちを食い物にしてゆくというやり方を続けてゆくのでしょう。
愚民化社会の先を見るということは、それほど難しいことではなかった、ということなのでしょう。
いま、国は明らかに彼等、嘘の祭りに大はしゃぎする人たちの物になりつつあります。
先日、知人の経営する中華料理店で昼食を摂っていた処、NHKでやっている武術の番組が流れていました。
信頼している少林拳の先生が出ていたので目を向けてみたのですが、いや、全体としてはひどい物でした。
相変わらず、上の総合格闘技興行が行われていた時代に深夜帯でやっていた格闘技バラエティ番組と同じことをやっている。
せいぜい十年程度かじった程度のタレントさんが、さも分かったような顔をしてコメントを述べている。
彼の事務所は礼儀に厳しいと聴いていましたが、いや、私が十年程度のキャリアなんて頃はまだ二十歳前後の若造でした。
その程度の人間が、各派の偉い先生方に対してどこの立場でかは知りませんが分かった面で評価をしたり出来るものなんですね。
そんな風に見世物扱いをされて黙って従っている先生方にも心底絶望いたしました。
以前、うちに何度かマスコミから接触があったときにも、相手の態度が悪かったので私は怒りました。
良くない時代から、ずっと武術が間違った語りで喧伝されて世に誤解を招いている。
そうして広まった迷妄を断つべくひとまず奥にまで入った立場から正しい発信をしているのですが、定期的にこういういい加減なマスコミとそれに膝を屈する先生方によってまた迷妄が広まってしまう。
本来なら生徒さんたちの人間性を育てて彼等から世の迷妄を振り払うべくはずの師範方が、このように大衆を迷わせるための走狗になりさがっている。
本当に情けない限りです。
彼らの親や先生方は、彼等にそういう人間になれと言って育てたのでしょうか。
こうして彼らは権威主義社会を形成して行って、いずれ戦争に至ろうとしているのだなあ。