ユーチューブで色々と身体に関する勉強をしているのですが、その中で興味ある対象として観ているのがこちらのさくらちゃんです。
この間、コーチに言われて初めてボディ・コンテストに参加したのですが、元々はまったくはそちらに興味がなく、ひたすらにパワーを付けようとして鍛えて来ていたという140センチくらいの女の子です。
最近の偽物武術や創作武術の愛好家は二極化していて、身体をまったくもっていなくて鍛えたり作ったりするのが嫌いな層と、理屈はあっても結局無意味な格闘技的な体力で実際は消化をしているという層に分かれている印象があります。
私にいわせりゃどっちも術には至ってないね。
伝統の術を使うには、伝統のやり方で作り上げた肉体の獲得が必要です。
そもそもその肉体の獲得自体が秘伝の術でした。
少し前に、ツイッター上で「武術に力は要らない」というのに憧れながら筋トレをしている人が居ましたが、その人のデッドリフトでの記録が80キロくらい。
お身体が悪い人だったのでしょうか。
一般成人男性として考えるとあまりに弱すぎる……。
運動不足という現代病を乗り越えないと、武術を始める段階にも至れない。
この動画のさくらちゃんは、デッドでは140キロくらいを上げます。140センチの女の子が。
筋トレ動画やフィットネスの動画は直接武術には関係がありません。
武術のことは正当な武術の教伝から学ぶのが本道です。
しかし、世間の現実を知るには武術ではない界隈での人間の肉体の能力を常識として知っておくのは良いことでしょう。
私自身は子供の頃からひたすら腕立て伏せをさせられてきたので大人になるまで知らなかったのですが、ほとんどの日本人は腕立て伏せがどうやら出来ないらしい。
それを知れたのもやはりそういう動画のおかげでした。
女の人たちは膝を突いてやっとだし、武術を教えているという男性でも、頭が上下しているだけのいわゆるヘコヘコ腕立て伏せで、本当に体幹が沈んでいる人はいませんでした。
懸垂などは論外です。
鍼灸の学校に行って、フィットネスをしていてマラソンをしている同級生から「大胸筋はんぱねーなー」と言われたことがありました。
ほとんど不必要に私には大胸筋があります。
これは邪魔だから要らないよと師父に言われたことがありました。
確かにこんなものを使う運動はまったくしません。
しかし、格闘技時代にはこれは打たれ強くするための鎧でした。
心臓を打ってスタミナを奪うハート・ブローからも、鎖骨を上から叩き折る下ろし打ちからもこの大胸筋が守ってくれていました。
能動的に使うことは無くても、受け強さにおいて大いに意味のあるものだったのですね。
そこから逆算するなら、いまどきの素人武術愛好家のパンチやキックは、恐らくは身体を鍛えているだけの人間に有効にダメージを与えられるとは限らないように思います。
最低限の肉体あっての武術でしょう。
と、前置きをした処でこのお話、次回に続きます。
つづく