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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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アカデミズムと世間

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 最近、海洋生物のストランディング(意訳:座礁)が増えていますね。

 これは生物環境おいてはあまりよくない、と私の好きな学者さんが言っていました。

 この方、木綿子先生とおっしゃるのですが、この方のお仕事で知られているのは、ストランディングした生物のところに行き、解剖して調査、解析をするという物です。

 私の地元神奈川県の浜にクジラが打ち上げられてニュースになったときもこの先生が出動されていました。

 この木綿子先生、本業は生物の生殖の研究なんだそうなのですね。

 最近、またクジラがストランディングをして死亡してしまったときに、初動の報道ではこれが子供のクジラだと周知されました。

 しかし、木綿子先生が出動して解剖したところ、初期報道よりもだいぶ体長があり、決して子供ではないオスの成獣であることが分かりました。

 そのクジラの身体の一部を持ち帰って解剖をしていた処にテレビの取材が入ったようで、番組側から「最初は子供だと言われていましたが大人だったんですねよ?」という質問が入ったと言います。

 すると木綿子先生はちょうど目の前にあったクジラの検体を見せながら「はい、大人のオスですね。立派な成獣のペニスもここにあります」と返答をされたそうなのですが、これがネット上で話題になってしまったといいます。

 成獣の立派なペニスというのが世間の人には面白かったそうなんですね。

 しかし、ご本人からすると生殖の学問をしているのだからこれは当たり前のこと。

 歯を解析すればこのクジラは48歳だったということまでわかるそうで、それと同じく生殖器の成熟から生態を解析するのは解剖学としても生殖の研究という面からしても当たり前のことです。

 何も面白いことなどはない。

 なのに世間は勝手にそういう物に偏見を築き上げて、面白いだなんだと軽薄に騒ぎ立てる。

 愚かしい話です。

 私もまた、同じく人間の性の力や性神信仰、生殖器についての研究をしているためによくそれらの言葉を口にします。

 しかし、やはり私も高齢の教授に忠告をされたことがありました。

「アカデミズムの世界と世間は全然違うからそれを覚えておかないといけない。僕も失敗した」

 そういうことなのですね。

 政権与党が愚民化政策を施行し、世の中に衆愚制が浸透しきっており、国の知性とも言える学術会議を弾圧するこの世の中、真実を追求して寄り添うという学問に忠実な生き方は目の敵にされて追いやられて行っているように思わざるをえません。

 そうしておきながらその一方で、それらの人々は愚かだと言われると感情を害する。

 支離滅裂で精神を病んでいるとしか思えない。

 この国の民心はいま、大きく病んで腐れて行っている。


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