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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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ホントにどこでもインチキばかり

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  最近、ツイッターを見ていてこんな記事が転がってきました。

 

 私は去年くらいに、解剖学のレベルでしか動きを説明していない運動解説者に関して、インチキだという指摘をしました。

 なぜなら解剖学と言うのは通称を「身体の地図」とも言って、体内の器官がどの場所に合ってなんという名前かを定義してするだけの学問で、動きそのものを研究する物ではないからです。

 もちろん、人体と言うのは機能のために配置がされて居るので、可動域や可動方向については解剖学で分かります。

 インチキ業界が大好きな、屈曲や進展、外旋や内旋といった言葉は解剖学の用語です。

 しかしこれ、あくまで方向を表現してるだけです。

 肘を曲げてくださいとか、膝を伸ばして下さいという意味でしかありません。

 ですから、単純に練習時に指導上そういった言葉を使うことはインチキではありません。ただの指示と説明です。

 ですが90年代から続くこの手のインチキ商売では、なぜかこういう言葉を使うと運動能力が上がるということになっています。

 有名なアスリートのムーヴィーを指しながら「これは○○が内旋しているからこういう能力が出るんですよー」なんて、いかにも人のよさそうな笑顔で言っているその手の商売の人を見たことがあります。

 野球のボールを投げるのに、腕を捻じらない人はいません。

 言葉を開いてみれば「ボールを投げるときに腕が捻じられている」と言っているだけです。

 それなのに、なぜかそれが一流選手が大リーグで活躍出来ている理由だということにしてしまえる。

 逆にそうじゃない選手も出して比較してみてくれよ、と思うのですが、そんなヤツはいなのでされません。

 これって典型的な、90年代的コンサルビジネスの名残なんですよ。

「カスタマーのコンプライアンスがア・プリオリにアウフヘーベンされたからレピュテーションになったんですよ」みたいな、「お客さんに前からに人気があったヤツ」くらいの意味を言い換えるだけで何かしてる風の空気を作って手間賃を掠め取ってる連中の手口ですよこんなもん。

 こんなんで成績が上がったら、それは雇ってる人の実力なんですよそりゃ。

 なのに、それをさもしたり顔で自分の手柄に掠め取るっていうのがこの手のコジキ商売の定番です。

 実際に働いている人たちの心の隙間にある不案に付けいってくる。

 で、ですね、そういうことを書いたのよりさらに数年前に、バレエってのは本来白人種の身体文化の頂点にあるようなもんだけど、最近は武術界と同じでインチキ先生が増えてるらしいね、ってことも書きました。

 この二つの案件が見事にハイヴリッド!

 完全に自称古武術業界のインチキ商売の手口がバレエでも起きているというのがリンクの記事です。

 この記事では私が上に書いたような「解剖学ってそういうのとちゃうよ」ということには触れられてません。

 さすがにライターさんや現場の被害者の人たちもそこまで理解はしてないからでしょう。

 つまり、ここで書かれている以上にもっと根本的な問題があるってことです。

 もう一回書きます。

 解剖学ってのは身体の部品の名前と場所を覚える学問で、身体の働きに関する学問ではありません。

 身体がどう機能するのかを追求するのは、生理学という別の学問です。

 手元の資料に目を通せば、明治に日本に西洋医学が入ってきた頃、北大の医学部では生理学を半年で360時間勉強したとあります。

 それが現在の北大では半年90時間。

 同大学の短期看護科では75時間だそうです。

 もちろん、ついこの間まで江戸時代を生きていた人たちと現代人では基礎の認識が違うでしょうから学習時間の比較を単純に時間だけで論じることも出来ないでしょう。

 しかし、それでもこの学問には圧倒的に学習時間が必要なことは間違いがありません。

 これは解剖学が劣っているということではありません。

 生理学がそれだけの時間を費やす間、解剖学では解剖実習で御献体を何度も解剖したり、また器官をデッサンしたりするそうです。

 扱うのは生きた体と亡くなって構造としての肉体になった身体との違いになります。

 人体の反射や脳機能による操作、通電やホルモン分泌などの働きによる活きた動きというのは解剖学で学ぶ物ではありません。

 という訳で、解剖学と言う看板を付けている運動指導者はそれだけでもう根本的に分かっていないと考えてよさそうです。

 そういうインチキにぜひに引っかからないようにしてほしいのですが、しかし、先に書いたように、心の隙間に付け行ってくる商売の人が無くならないのは、自分の不安を補ってもらうためにそういう人たちに入ってきて欲しいという人たちが沢山いるからです。

 自分の実力だけで充分にやっていけるのに、そこに不安を感じて御幣担ぎのような物にお布施を献上してしまう。

 もったいないなあと思うのですが、人類の信仰の歴史と言うのはそういう面もあるのですよね。 

 なぜか占いや霊視が得意だという整体師が世の中には沢山いて、一流の運動選手やエンターテイナーを洗脳しているというニュースを定期的に耳にします。

 そういう構造があるのでしょうね。

 そしてその構造が、いまのこの国のオカルトとカルトと陰謀論で繋がるポピュリズムを形成しているのでしょう。

 なので私は繰り返し言うのです。

 オタクとオカルトとスピリチュアルは真実追求の障害だと。


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