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アスリートと怒りの発作について  3

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 アスリートが、ステロイドの使い過ぎで頭がおかしくなったんじゃないのか、というほどの怒りを見せる症状の分析をしています。

 前回、生理学的なことを書くと言いました。

 手始めに、こちらの記事を紹介しましょうか。

 かいつまんで紹介しますと、神奈川大学教授の臨床心理が分析するに、人に合わすことや人を許すのが苦手な人、身近に尊敬できる人が居ない人、リスクに敏感で不安になりやすい人がそうなりやすいと書いてあります。典型的なメンヘラ、人格障害患者ですね。

 これらの人はドーパミンの高揚感に依存しやすく、ゲームやギャンブルの依存症になりやすい。

 このような社会病質型の脳内では、自分の高揚感を奪う存在を敵だとみなして攻撃的になる、と書かれています。

 ギャンブル好きに人格破綻者が多いのは単にだらしないからとかではなくて、こういった脳の分泌物からの機序がある訳です。

 私はカジノ誘致への反対意見が「ギャンブル依存症を増やすから」だと聴いた時には、そんなの個人の自由だバカにした理由を言うな、と思った物です。

 万博やオリンピックと同じく、経済的に成功する確率が低いならともかく、そんなアホな理由があるかと思っていたのですが、この先生が言うには生理学的な機序があるということな訳です。

 元々クズだからギャンブルにハマるんだろうと思っていたんですけどこの考え方だと逆で、ギャンブルをするから生理的な反応によってどんどんクズになっていくんだと言うんですね。

 だとしたら、誰がなってもおかしくはない。恐ろしいことです。

 同じことが、ドーパミンを日常的に過剰分泌しているアーティストやアスリートにも言える訳です。

 早目に臨床心理士の処に行って相談をした方が人生が良くなることは間違いないでしょう。

 同様の現象に関して、これとはまた別の説があります。

 それは、体内の炎症が鬱や怒りの発作を招く、つまり、メンタルヘルスを危うくする、という物です。

 これも数年前に論文を発表した研究者がいる説です。

 筋トレや運動などによって、体内では炎症が起きます。

 いわゆる筋肉痛や、ひどい場合は関節炎など。

 アイシング・スプレーなどを使った経験のある方も多いのではないでしょうか。

 また最近ではインドメタシン配合であったり抗ヒスタミン剤であったりという、良く効く鎮痛剤も手軽に購入することができますね。

 これらの効果が、体内の炎症を抑えるという物です。

 炎症は比較的容易に発生し、日常的にジムに通ったりしている人にとっては殆ど身近な感覚であったりさえします。

 ですが、この炎症が一定量を越えると、どうやら精神疾患の原因になるようなのですね。

 試合場の外で粗暴な振る舞いをして新聞をにぎわすスポーツ選手たちや、コートの上でラケットを叩き壊すテニスプレーヤーのような人たちは、あるいはそういった状態であるのかもしれません。

 また、筋肉に特化したボディビルダー達の麻薬汚染問題も、精神の亢進を抑えるための物であるのかもしれません。

 まさに映画「ウェイブス」の通りです。

 このように、アスリートの情緒障害に関しては、いくつもの原因が想定できます。

 ロイドレイジの存在を証明するには、それらの原因をすべて除外した上での可能性を考えなければなりません。

 いま少し話を続けますと、神経には可塑化という習性があります。

 これは同じ神経伝達が繰り返されるうちに、その伝達速度が速くなってゆくという物です。

 例えば、ある刺激に対して十段階後に一定の閾値に達するとすれば、これは繰り返されていくうちに目盛りがどんどん省略されて行って、5段階で閾値に達するようになり、3段階になり、果ては瞬時に、というような状態です。

 スポーツの反射的スキルの発動などはこれが活用されている部分が大きいでしょう。

 また、私たちが行うような筋肉への刺激、すなわち筋トレでも「神経系」と呼ばれるのがこの部分です。

 私はこの、神経の発達中心でベンチプレスを行っていたため、十段階くらいのギアを徐々に入れることなく、一気にトップに持ってゆくような体質になりました。

 結果、大きな力が助走なく急激に発動できるようになりました。

 これは、中国武術をしていたため、そのような体質の方が良いからそうしたのですが、結果神経がすぐに大きな力を出せるようになったため、過程で育つ筋肉が育つ段階が省略されてしまい、筋トレをしているらしい大きな筋肉を獲得することは出来ないという結果になりました。

 また、いわゆる性的オーガニズムの「開発」などはまさにこの神経系の可塑化としてもっとも分かりやすいケースでしょう。

 このように、神経系は同じ刺激が繰り返されるとどんどん反射的、短絡的に興奮が強まるという特性があります。

 これを怒りの機序に置き換えれば、短絡的で気が短い、怒りをあらわにすることに恥じらいの無い非知性的なアスリートが出来上がります。

 もちろん、これはアスリートのみならず、覚醒剤常習者、アルコール常用者などでも同じです。

 神経への刺激が繰り返されれば同じように神経は可塑化してゆきます。

 定期的にライヴで興奮を味わうアーティストなどでもこういうことは起きるようです。

 それらの人々の場合は人格が障害しても感情と繋がった行動の結果なので「さもありなん」と比較的容易に納得が行くのですが、体内の炎症と言う物理的な現象によって同様の効果が起ることを思うと、これは自覚して注意を払いたいと思う次第です。

 中医学では辛い物を食べ過ぎると同様のことが起きると言われていますので、その辺りもこの機序から推察をすることも可能です。


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