前回は期末テストの恐ろしい結果を発表いたしました。
実は、受験前の段階から、このような状況に対しては何人もの先生方から忠告をされて居ました。
他の生徒たちはちょっと……だから、流されないで目標を持って取り組んでくださいね、というのがそれらの大要です。
それらから逆算するに、つまりはこの全滅状態は前もって予測されていた範疇であり、今年になって急激にそうだということではなさそうです。
環境ホルモンやゆとり教育のせいではない。
だとしたら、どういうことか。
私の唯一の高校時代の友人にこれはいかなることなのかと意見を求めてみました。
彼は、私と同じ高校出身ながら、ドロップアウトして悪の道に進んだ私とは違って正道で大学を出て日本随一の一流企業に就職したという秀才で、いまも中学生に勉強を教えるボランティアをしているという、いわばテスト勉強には慣れ親しんだ男です。
その彼が曰く、どうやらそれはそこが職業訓練校だからではないか、という仮説にたどり着きました。
一般の中学や大学と違い、勉強はその先の勉強に繋がっている訳ではない。
何かの研究をしたいというようなモチベーションの生徒はほとんどいないというのは確かに職業訓練校ならではです。
水産高校や林業高校と同じく、生徒たちは職業訓練を受けて技術と資格を習得して既得権益が保護された国家資格での労働をするために来ているので、勉強はあくまで手段であり通過点、勉強そのものには関心がないというのは確かに言えることでしょう。
私は、何人かの同級生が「針の練習さえしてればいい学校なんだと思っていた」という発言をしていたこと耳にしました。
確かに、そういった気持ちで来た子たちにとっては、ここでの学問はあまりに難易度が高い。
参考書は看護師学校などと共通の物で、非常に専門性が高いのです。
針の練習さえしてればいいというような、旋盤やハサミの遣い方を練習していればよいタイプの職業訓練校を想像していると「おいおい話が違うぞ。これじゃ大学行ってたほうがマシじゃないか」というような物です。
このマッチングのミスが一つの要因であるとは感じました。
そもそもが、勉強が得意な子は基本、この学校にはこないんですよ。
職業訓練校なんだから、大学に行かない子がほとんどです。
また、鍼灸の勉強というのは大学でも実は出来るんですね。
ちゃんとそれで国家資格が取れます。
ただ、うちの学校の生き字引のような先生が言うには、大学で勉強した子たちはその後まともに就職して鍼灸師にはならないというんですね。
ここにも上の仮説の原因が見られるような気がします。
勉強ができる子は、大学院や一流大学や一流企業や海外でのキャリアづくりをしているころで、この学校には基本こないんですね。
つまり、進学できない子が手に職付けるためにというモチベーションで基本は来てるんだと思うんですよ。
もし、学校で習う内容に関心があるなら、授業に対して関心が高く、自然に学力は上がるはずなのですけれども、どうやらそういう生徒は極めて少ないらしい。
ではなんでこんな大変な学校に来たのかと言うと、どうやら多いのは、それだけで特待生になれたりプロになれたりするほどではない体育会系部活をしていた子たちが、通院経験や先輩からの勧めでやってきた、ということのようなんですね。
そこで吹き荒れる、ハードコアな勉強の嵐……。
悲しきすれ違いが感じられます。
つづく