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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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大衆社会とサブカルチャー 5

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「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」は、本当にちょっと腰が抜けるくらいのすごい作品でした。

 基本、私は国産のアニメ映画は観ないのですが(最後に観たアニメ映画はウクライナのストールン・プリンセスでその前は中国のライオン少年)、水木しげる作品とは一緒に歩んできました。

 しかし、テレビで鬼太郎の新シリーズがやっていると耳にしても、とくにはテレビを付けはしないで過ごしています。

 なので今回の映画版もまったく関心を持っていなかったのですが、異様に評判が良く、また内容もテレビシリーズの鬼太郎本編ではなく、鬼太郎のキャラクターが確立される前の原作準拠の時代の作品だと聞いて関心を持った次第です。

 マンガ版だと、その時代なら主人公というか話種は水木しげる先生本人なんですよね。

 それで、ミイラ男みたいな男性が自分の一族である古の種族、幽霊族について語り、そして最後の一人が生まれたと同時に死亡し、その片目だけが独立して生命体となって目玉のおやじに生まれ変わり、鬼太郎を見守ることになる、というまでの経緯を目撃することになります。

 この設定、恐らくはH・P・ラブクラフトから来ています。

 というのも、マンガ版の鬼太郎には、古に地上を支配していた「古代の神々」が出てくるようなエピソードがあり、確実にラブクラフトを読んで元にしていると思われる節がある。

 また、水木の友人、学者のありゃまたこりゃまた先生として、かの荒又宏氏が登場して知恵を貸すと言うシーンも沢山あります。

 当時の荒又先生と言えば幻想文学の研究家として翻訳をいくつもしており、当然ラブクラフトの話もしていることでしょう。

 と、言った古代の頂上的な人種の血が戦後の人間の血液に交じってくる、というのがラブクラフトの「インスマウス」じみたエピソードが今回の映画の下敷きとなっています。

 しかし、物語は予想外の方向に脚色されていたのでした。

                 

                                              つづく 


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