肩、あるいは肩と呼ばれる上腕の部分に、結節間溝と呼ばれる部位があります。
そこに、上腕二頭筋の長頭筋腱と呼ばれる腱が通っています。
これは強く触るとちょっと痛い。
私の場合は年中軽く触っても痛いのですが、これはどうやら上腕二頭筋長頭筋腱炎という運動障害であるようなのです。
要するに、使いすぎで腱が腫れてしまっているのですね。
先生がたに相談したのですけれども、結局はこうなってたらもう休ませるのが最善の方だという答えに一致しました。
そこで痛みが消えるまで使わないようにして待ってみたのですが、なんと一週間も掛かりました。
しかし、確認してみればやはり、休ませる前とは痛みの程度が全く違います。
慢性的になっているうちに違和感に気づかなくなっていたのですが、確かにいままで非常に傷んでいたことを自覚しました。
そこでキャリステニクスを再開してみました。
ラダーと呼ばれるカウント法での懸垂をいまは実験しています。
休ませた後だと、以前よりも力強さが感じられました。
一回一回のストロークが大きくなっています。
疲労度も軽減されたように感じます。
これはこのメニューの組み方の理念に合致した物だと思われます。
少ない数ごとにセットを切って沢山のセットで行うことで、フルストロークのもっとも力強い動作を多数行うことができます。
そして最後の方は、かなりしつこい追い込みとなります。もちろん、フルストロークでの。
この、ストロークの大切さというものがキャリステニクスにおいては重視されることが多い。
懸垂や腕立て伏せで数をこなすとなると、どうも印象として身体をのけぞらせて崩れたフォームで沢山行う印象が出てきてしまいますが、それではあまり褒められたものにはならないのです。
ポール・ウェイド先生に至っては、それは無意味だとさえ言っています。
どうしても、部活や道場で育ってきた人間からすると、腕立て伏せなどはパッパおろして反動でバウンドするように上がって数を稼ぎたくなってしまうのですが、それはいくない。
きちんと落としてきちんと上げることが重要です。
上げることの大切さは分かりやすいと思いますが、下げるときも大切だとはどういうことでしょうか。
これは単に、反動がつけられないようにしているのではないようです。
この動作をネガティヴ動作と呼ぶのですが、中にはこのネガティヴ動作、腕立てなら下ろすだけ、懸垂ならぶら下がったところから下ろすまでだけをやって追い込む人もいるというくらい「効く」動作になっています。
この仕組みについて、筋肉芸人のなかやまきんにさんが動画で説明をしていました。
筋肉というのは、ミオシン・フィラメントと言う筋繊維の間にアクチン・フィラメントという筋繊維が滑り込むことで収縮が起きます。
すなわち、筋肉が使われている状態ですね。
この時、ミオシンの頭部と呼ばれる場所が持ち上がるという現象が起きます。
これがアクチンを呼ぶのですね。
重なり合って収縮した筋肉が伸びてゆくときには、ミオシンとアクチンがスライドして離れてゆきます。
この時に、ミオシンの頭部がアクチンにこすれて細かいキズを付けるのだときんにさんは言います。
筋肉に細かい傷がつくということは、超回復の一歩目であるということです。
そのため、ゆっくりとしっかりこの伸長動作を行うことで、より大きな筋肥大が求められるのだと言うのです。
これは非常に面白いお話ですね。
懸垂などは特に、強度が強いためそんなに沢山回数が行えるものではありません。
だったら、もう身体が持ち上げられないというところからでも、余力を絞り出してネガティヴで効かせれば、成長がより効果的に行えるという仕組みです。
ただまぁ、負担が大きくなることは危険に繋がりますので、あまりやりすぎると私のように負傷につながる可能性が高まります。