さて、先日とうとう今年最初の対面練習会を再開いたしました。
パンデミック以降、基本的に自粛していましたので、実に久しぶりのこととなりました。
前にやったのは、一時期新規感染者数が激減していたころで、生徒さんが言うにはちょうど昨年の今頃くらいだったとのことでした。
そういった飛び回がありながらも、トータルで言うと、もう四年? 五年? くらいは対面活動を休止しておりました。
必然、その間に私は、対面練習が非常に下手になっているはずです。
ですのでよく注意して、考えて練習をすることで、自分もまた能力を取り戻してゆこうと思っていました。
その様な中で実際に行ってみて感じたことが2つありました。
一つには、やはり劣っている部分があるという実感でした。
特に、人に技をかけるということに関しては明確にそうだと言うような気がしました。
決して過去の自分の過大評価や美化ではないと思っているのですが……。
ただ、思っていたほどではなかったような気もします。これは実に意外なことでした。
まぁ、これから回を重ねるごとに、あれもダメだ、これも忘れている、ということがあるかもしれませんが。
それからもう一つ。
それとは真逆に、能力が上がっていると感じた部分がありました。
これは恐らく、相手と組み合っての能力ではなくて、より大きな部分での、いわば気功的な能力、その中でも少林拳でいうところの洗髄に分類される能力であるように思いました。
生徒さんが失敗をしているときに、どこでどのように失敗しているのかが以前よりよくわかります。
高速で動いている中でもきちんと見過ごさずにキャッチ出来るので、指導に非常に役立ちました。
これは、武術の対面指導をしていない間でも、毎日自分で練習をして、内功を練って来たからではないかと思われます。
また、この能力の一環でか、相手の力の流れを見た目で感じる部分が少し上がった気がします。
結果、フィリピン武術界のレジェンド、アントニオ・タタン・イラストリシモ先生の名人芸である、叩き落としディスアームが出来るようになりました。
これは、相手の持っている兵器を叩いて相手の手から打ち落とすというテクニックです。
いままでも習ってきてやられたことはあるのですが、自分ではどうも体得が出来ていませんでした。
もちろん、片手で相手の手首を掴んでおいてなら出来ることはあるのですが、そうではなくて相手が持っている武器を、他の部分では干渉せずに叩いて打ち落とすというのは数段階難しい物になります。
けれども、フィリピンの先生方はこういうことをするのですね。
どの状態のときにどういう方向に力が流れていて、そこにどういう力を加えれば落ちるかという物理的な機序を、果てしない繰り返しの結果体得している。
もちろん、データで分析して数を重ねて体得するというのは誰でもいつか到達できることなのですが、その練習をしていない間に分かるようになったというのは、やはり感性が発達したのでしょう。
これから先、その上で数を重ねてデータを積み上げてフィードバックし、より練習システムを拡充して行きたい次第です。
対面練習は得るものが多いし、一人でずっと練習をすることも得るものが大きいですね。