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Channel: サウス・マーシャル・アーツ・クラブ(エイシャ身体文化アカデミー)のブログ
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筋肉のシェイプ 2

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 この間ユーチューブのおすすめ動画に、ある筋トレ動画が出てきました。

 そこには、こうすればシルエットが変わるというおススメトレーニングが紹介されていました。

 外見が変わりやすいというトレーニング、それは、三角筋です。

 三角筋は身体の中でも抜群に成長しやすい筋肉です。

 というのも、サテライト細胞という筋肉への負荷を感じる細胞の数が多いからだと言われています。

 フィジーク競技では、この三角筋が大きくて下半身が大きくない選手が、かっこいい逆三角だとして良しとされます。

 ですが、そんな体格の格闘家はいません。

 あくまでこれは美観にのみニーズを取った基準となります。

 中国の伝統武術家の典型的な体型は二つ。ジャイアンかロボコンのような三角形か、非常に痩せたスタイルかです。

 痩せてはいるけど三角筋や二頭筋がボールのように肥大している、というような人はまず見ません。

 これね、実は納得の引く答えがあるのです。

 ヒントはプロボクサーの友人がくれました。

 彼女は私の身体をして「遅筋の塊」と評したのですね。

 さぁこの遅筋、赤筋とも言われる筋肉細胞です。

 これに対して速筋と言われるのが白い筋肉、白筋です。

 よく言われるのが、赤い筋肉はマグロと一緒、回遊していて泳ぎ続けるような筋肉。

 白い筋肉は白身のヒラメで、普段はまったく動かないでいて、ここぞという一瞬だけ翻るように素早い動きを見せる。

 つまり、持久力と瞬発力です。

 いわゆる、ボールをそこに盛り付けたような三角筋や二頭筋などのパワー型の筋肉は、この白筋です。

 白筋は大きくなりやすい筋肉だと言われています。

 対して、赤筋は持久力の筋肉であるために肥大しづらく、付けてもマラソンランナーのような筋肉になりやすいと言われます。

 普通の人はこの説明で納得をするのですが、いやいやちょっと待て不思議なところがあるぞ、と私は思いました。

 というのも、白筋は肥大しやすくて大きい、赤筋は大きくなりづらいのに、ヒラメよりもマグロの方が明らかに大きいではないか、ということです。

 ヒラメは薄っぺらい印象さえあります。

 まぁ実際は種が違うし、回遊し続ける魚はそれだけ泳ぎながら沢山餌を食べているから大きくなりやすいのだ、ということもあるのでしょう。

 ですが、この考えは中国武術家に置き換えるとすんなりと納得が行くのです。

 というのも、中国武術家の典型的な体型、ずんぐり三角タイプか痩せてるタイプかの二つは、どちらも遅筋のタイプだからです。

 前者はマグロ型、後者はマラソンランナーです。

 どういうことかというのなら、遺伝子上の違いが出ているだけで、どちらもやっているトレーニングは馬歩をじっとし続けたり、站椿功をしていたりと、持久系のトレーニングということになります。

 ですので、太りやすさやテストステロンの違いでどちらかになるということでしょう。

 短時間瞬発パワー型の逆三角ビルダーマッチョにはならないのです。それは瞬間的に重いダンベルを上げてまた下すということを繰り返すような筋肉です。

 動かないままじっと負荷をかけ続ければ、やはりロボコンかマラソンランナーになることでしょう。

 私が現在取り組んでいる南方短橋狭馬の武術家たちを見てみれば、みんなどちらかに分類されます。

 心なしか、客家の拳師は大きくて三角形の人が多くて、福建鶴拳系の先生がたは砲弾型ややせ型が多いような気もします。

 体型だけで言うのなら、私に向いているということかもしれません。

 いずれにせよ、赤い、遅筋が大切です。

 なぜか。

 答えはこの筋肉の構造的な役割の中に存在しています。

 というのも、遅筋の役割の中には「姿勢の維持」という物があるからです。

 これこそがまさしく、中国武術が動かない練功を重視する理由。整勁です。

 これを作り上げるために、私たちの身体は遅筋の塊になってゆくという訳です。

 めちゃめちゃ核心的なことを公開してしまった。

 どうかこのことを誰かにお話するときには「師父翆虎という功夫の先生が言っていたのだけれど」と付けてください。


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