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う~ん、残念

 ある武術雑誌を買いました。

 先月出された告知で、我が蔡李佛も含めた南派拳法から、フィリピン武術、シラットへのつながりを特集するとされていて、明らかにうちの仕事の話ではないかと思い、何か私も知らない部分の話が出るのではないかと楽しみにしていました。

 同時に、おそらくいま、その部分の伝承とフィールド・ワークに関して一番しっかり取り組んでいるのがうちなので、他所でその中国武術の南進が分かっている人がいるのかなあと不安になりました。

 日本で正当な南派武術の師父というのがそもそも少ないし、正統なフィリピン武術のマスタルはもっと少ない気がする。さらにはシラットの先生ってうちの関連の先生しか居ない気がするし、その中でさらにそれらを重ねて指導資格持ってる人なんて他で聞いたことない。

 明らかにうちの仕事を見たところから企画が始まっているであろうに、うちに話が来てなくて成り立つのかなあ? と思いもしたのですが、まぁこの中国武術のインドから東南アジアに至るまでの南進の歴史を世間に知らしめることは、現状ある大きな誤解と無理解が解ける一歩になるならいいかと思っていた次第であります。

 しかし、実際に発刊された物を見てみたところ、蔡李佛は省かれ、南北の少林拳の伝播に関する基礎的な前提となる伝承も語られることは無く、東南アジアの要素に関してはきれいさっぱりなくなっていました。

 ほらーー。

 南北合一蔡李佛ってくらいで、うちを介さないとそこは見えてこないんですってばー。

 南北の伝播と、太平天国の乱以後のアメリカに大量に拳士が渡って苦力になって行った経緯とか、東南アジアに落ち延びて行ったこととかを軸にして辿らないと、全体像は見えてきませんがな。

 伊達に世界でもっとも普及したカンフーって言われてないからね。

 それは南北アメリカやヨーロッパ、アジア各地でのチャイナ・タウンの成立と直結しているもので、そこには必ず蔡李佛があるって言う話ですからね。

 という訳でまた引き続き、この分野の学問はうちだけでやってくことになったようです。

 残念。

 まぁ今回の少しの成果は、ウィンチュンが武林では伝統中国武術ではなくて現代武術だと見なされているってことが当事者サイドから明確にされたことで、伝統拳術におけるラインが少しは明確になったってことかなあ。

 それによって現状の日本としては、だからまだ本当には南派武術のことは多くの人はほとんど何もわかっていない、ということがはっきりとしたと思う。


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