筋トレ理論から見た勁論 追記
私の古武術時代の弟子が、重力泥棒ということが出来ました。 一緒にホームセンターなりスポーツ用品店なりに行くと、そこにある家に置くには不便そうな大きなダンベルを持って、何度かカールをするのです。 そして「よし、覚えたぞ」とつぶやきます。 以上、犯行終了。 これ、神経系にそのダンベルの重さ、30キロなりなんなりを記憶させて、以後家でエアーでカールを行うのです。...
View Article浄化された人々
大衆と市民という生き方の分化から、社会的分断の時代が始まっている、ということを繰り返し書き続けてきました。 これまでは、経済とステータスが重視される時代だったのですが、これからは違う価値観が社会的な階層に強く影響をする、ということを書いてきた訳です。 そんなことがあるものか、一体具体的にはどういうことなのかわからない、という人が沢山いるのは当然のことです。...
View Article自分の道を生きる人たち
社会的な活動をされているある女性芸人氏のことを何度か書いてきました。 この間、その方の番組に、若いころから養成所で同級であるという男性芸人がゲスト出演されていました。 この二人の関係がどうも微妙な物であるらしく、その男性の相方の芸人さんとこの女性は仲が良いのだそうですが、逆にこの本人とはちょっと関係性が滑らかではないとのことでした。 その二人がこの度したお話が、実に素晴らしい物でした。...
View Article人間主義の敗北――超人の再評価
以前も書いたように、禅宗の総本山である少林寺より伝わる武術の継承者としては、仏法とタオの間で悩む日々を送っています。 禅というのはインドから伝わった仏教と中国の思想であるタオが融合して生まれた中国佛教と言えるので、行を取り組むに当たってどちらの考えを優先すべきかと悩む場合があるのです。 どちらもその姿勢においては限りなく共通性があるようなのですが、私が引っかかるのはいつも最後の壁の部分です。...
View Articleジーン
日本で大人気だったコミックおよびそのアニメ映画化作品が、アメリカでも人気となっているそうです。 それに対して、アメリカではある学者の先生が警告を発しました。 曰く、12歳以下の子供は抽象概念思考に関して脳がまだ未発達なため、残酷な描写の多い作品は悪影響があり得る、ということです。 いかにもレート意識の厳しいアメリカらしい見解だとも感じます。...
View Article用勁の段階の順序
一般に、発勁に動きが出る明勁よりも、形に出ない暗勁を後で学ぶという順序があります。 ただ、初めから最後まで明でやる派もあれば、ずっと暗でやる派もあります。 心意拳には特にこの傾向が強いかもしれません。 元々、明、暗の別を明文化したのは心意拳なのですが、結果そのままひたすら全部暗いという非常に高級な派も出てきたようです。 私はそちらの方から入ったのですが、いや正直これは相当難しいです。...
View Article急進による変化の繰り返し
アナと雪の女王の、エルサというのは元々悪役だったと言います。 元になった話の「雪の女王」では確かにヒロインのボーイフレンドを洗脳して連れ去ってしまう魔女で、幼心に性的な感覚が強くてドキドキしたのを覚えています。 それを映画化しようとした際に、途中までは既定路線を継承していたそうなのですが、あの有名な「Let it Go」の曲が出来てきた時に方向転換が決まったのだそうです。...
View Article足の段階
長年、こちらで記事を書いているので、根本的に私がどのような武術史観を前提にここで書いているのかということをしばらく書かなくなっていました。 改めて繰り返しますが、根本のところでは中国武術という概念にはインド武術からの影響があり、そのルートは船による南のルートと、シルクロードを経由した北のルートがあり、ともに仏教文化の伝来に付随して身体観、行として伝わっている、というのが私の見解です。...
View Article剛と柔
中国武術においては、剛と柔ということがよく言われます。 白鶴拳のいわば字訣である八誌においては「剛柔 浮沈 呑吐 陰陽」の対の字の四句があると言います。 私はこれらを総合鶴拳である五祖拳の練習で老師から教わりました。 五祖拳の五祖とは達磨、釈尊、孫行者、太祖、白鶴のことです。 つまりは、少林拳、インド武術、猴拳類、明代武術、白鶴拳の要素だということでしょう。...
View Article病と快癒
中国武術、およびそのルーツであるインド武術は世界的にも例外的な存在である、と私は思っています。 もっと言うなら、圧倒的な優位性を感じていると言って良いです。 なぜなら、これらは以前にも書いた養生が根本にあるからです。 若いころは、その健身などと言う物が前に出がちな姿勢を嘲笑していました。...
View Article分かると言うこと より
先日、「わかると言うこと」という本を読みました。 これは脳医学の先生が書いた、認識についての本です。 つまり、我々が行において高めることを中核としている「識」についての本です。 この中で、エントロピー理論と言う物について触れていた部分が非常に印象に残りました。...
View Article急進による変化の揺り返しのつづき
少し前に書いた、アナと雪の女王の話のつづきをまた致しましょう。 雪の魔女であるエルサは、一作目二作目と流転した後に結局もののけ姫と同じ結末を辿ります。 アナ雪シリーズともののけ姫はともに、時代のパラダイム・シフトに直面した古い世界のヒロインが、選択肢を与えられた結果、古い世界を選んで時代から取り残されてゆく、という共通の構造を持っています。...
View Article観測された神々
神は死んだ。 と、最近私が見直したニーチェ君は言いました。 そして21世紀、神は観測されました。 科学的に、その存在が確認されました。 ニーチェ君。 では、どのような形で観測されたのか。 宜しければお付き合いくださって一度考えてみてください。 何かが目の前に現れて自分は神だと自称した。 それは科学的に神だと言うことにはなりません。 神の予言が達成された。...
View Article神々の観想
前回は、科学的に神々が観測されたということを書き、それは東洋の身体哲学や信仰で言う観想という行に通ずるということを書きました。 今回は、それについて具体的な例を書いてみようと思います。 身体哲学、行というと、もちろん我々の気功のルーツであるヨーガに至ります。 ヨーガのアーサナというのは本来、それごとに対応した神々を観想しながら行うと言います。...
View Article東洋の身体哲学大要私論 1・武術と禅
阿闍梨に勧められた「図説 ヨーガ大全」をようやく読み終わりました。 分厚い上に、断片的に関して詳細に述べられた膨大な情報を羅列した物なので、門外漢には大変に時間がかかる読み応えのある本でした。 門外漢であるのになぜこの本を、と言うと、件の阿闍梨が私のブログを読んで「あなたがやっているのはこの本に書いてあることではないか」と地球の反対側のブラジルからお便りをくれたからです。...
View Article東洋の身体哲学大要私論 2・インド神話と禅
さて、前回は中華圏とはすなわち中華佛教文化圏であり、これはインドから伝来した仏教に影響を受けており、それは中国で禅という形に昇華した、その総本山で生まれた少林拳は禅の一部であり、気功もまたしかり、と言うことを書きました。 今回はこの気功について書きましょう。 元々、これは中国に古代からその目があったと言います。 仏教伝来の前のタオの思想に由来します。...
View Article東洋の身体哲学私論 3・真理の身体性
さて、前回はお釈迦様のディアーナと中国のタオに伝わる気功が融合されて禅となったということを書きました。 この禅宗の成立の中で、少林武術が発展したと言います。 これは禅の行であり、また僧たちの健身法であり、また害獣などから身を護るための術ともなったと言います。 あくまでこの順番で在り、けっして逆ではありません。 猟師の真似事をすることが本旨だったわけではありません。...
View Article東洋の身体哲学私論 4・開祖シヴァ神
今回はシヴァ神から話に入ります。 この神様こそが、実はすべての鍵を託された方なのです。 インドの世界観においては、世界は三つの時間的な様相を繰り返していると言います。 創世の時代、調和の時代、破壊の時代です。 破壊が終わると次の創生が始まると言う輪廻転生が繰り返される訳です。 この三つを神格として表現したのが、創造神ブラフマー、調和神ヴィシュヌ、破壊神シヴァの三柱です。...
View Article東洋の身体哲学私論 5・アンタッチャブル
自己の確立と、大衆社会の反目について書きますよ、という形で前回は終わりました。 自己向上のメソッドであるヨーガと武術が神による父殺し、神殺しを寓話に持っているというお話をしましたね。 さすがは破壊神、既存の世界の破壊の専門家です。 この構造は、シヴァ神の後の釈尊でも同じですし、達磨大師が開いた少林寺と中国の王朝、および共産党においても同じことが繰り返されています。...
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