血族社会観から見たアジア身体文化史 1・産めよ、殖えよ、地に満ちよ
金庸先生の武侠小説が邦訳されて上陸した時、まずは数名の作家や識者が集まって作品を読み、彼らのレビューを通して巷間に紹介がされたのですが、その折に馳星周氏が「読んでいるとどこまでが中華でどこからが違うのかが分からなくなる」ということを言っていたことを記憶しています。...
View Article血族社会観から見たアジア身体文化史 2・陰の強
前回は中東の聖書宗教を引き合いに、中華圏における宗族文化の発展思想について書き始めました。 砂漠宗教では、神との契約を土台に発展が進んでゆきますが、アジアにおいてはどのような信仰に繋がったのか、というところなのですが、これは中国では福の神、財産の神、そして健康、長寿の神様に要約されます。 この三つをさして、福禄寿と言います。 三位一体にこれの化身となった福禄寿という神様もいますね。...
View Article血族社会観から見たアジア身体文化史 3・儒者の反乱
前回は、古典的な中国宗族社会におけるもっとも早い血族の発展手段は、後宮に一族の娘を送り込むことだということを書きました。 これは非常に納得がいくことなのですが、面白いことにまさに陰陽思想よろしく、この有力手段に反抗する力があるのです。 それは儒的教養です。 儒教と言うのは神話や伝説の中にある王朝の禅譲と言う物を神聖視しています。 対して、易姓革命と言う物を認めていない。...
View Article血族社会観から見たアジア身体文化史 4・儒と宗の相克
前回までは、宗族勢力の生存戦略としての後宮計画と易姓革命、それによって巻き起こされた戦乱の平定のための二つの手段である科挙制度と儒教思想について書きました。 この儒教においては、文武においては文が優っていて武が卑であり、男女においては男が優位で女が卑であるという考え方があります。 どちらも対の存在で陰陽の調和を説くタオとは大きく意見が分かれます。...
View Article血族社会観から観たアジア身体文化史 5・血族と言う身体性
前回までのことをまとめますと、宗族制度と科挙制度の相克によって、中国では女子は後宮に送り込み、男児は科挙に送り込むと言う血族社会の生存策が広まりました。 その中で、女子には房中術や纏足と言った身体面でのアプローチが現れます。 男児に対しては、健康法としての気功や武術が普及してゆきます。...
View Article血族社会観から観たアジア身体文化史 6・スタジオ・ジブリと宮崎駿
さて、前回までは、アジアに伝わる身体文化、身体哲学における重要な流れとしての性の力がどのようにして社会に働いてきたかを、歴史や社会制度、伝統思想などの周辺との関係と共に書いてきました。 そしてその最後で、日本にはこの血族社会観がそのままは伝わらなかったということを書き、その前提の上でジブリの姿が浮かび上がってくる、と書きました。 ジブリ、あのアニメーションのスタジオ・ジブリです。宮崎駿監督です。...
View Articleエゴで無いものの存在
以前に、気功を初めて少し経った頃、自分の体内で自分のエゴとは別の生命力が働いていることを感じるようになったと言うことを書きました。 直感的に感じたのは、それは体内に住む龍のような物だと言うことで、古人が気の表現として龍を用いていることに共感が出来ました。 また一方で、現代人の私はそれをポケモンのようだとも感じました。 それくらいに自分とはまた別の存在だと感じたのです。...
View Article前世紀英国情報局映画
昨年末公開された、スパイ映画を観に行きました。 割と近年始まったシリーズ作品で、いかにもZ世代的なノリで既存のスパイ映画を茶化してゆくようなバッド・ジョークの強い映画シリーズなのですが、この三作目が公開されたのです。 しかし、三作目と言いますが実はプリクウェル(前日潭)。主人公の属するスパイ組織が如何にして設立されるに至ったのかを描いた作品でした。...
View Article現代社会における性神神話としてのジブリ作品 1・もののけ姫と性と産業化社会
今回からは予告していたジブリ作品についての記事になります。 もしこちらにたまたま流れ着いた方などおられれば、ぜひ前の記事からお読みいただければと思います。 長い記事ですが、理解を促すためにはぜひにと思います。 その前回までの記事では、現代社会における性神信仰としてのジブリ作品ということを書きました。 今回からの記事は、その掘り下げと言うことになります。...
View Article現代社会における性神神話としてのジブリ作品 2・千と千尋の神隠しとラスト・ナイト・イン・ソーホー
前回は神々の世界を人類が侵略していった歴史を描いた「もののけ姫」を取り上げましたが、今回はその神々の側の世界を描いた作品「千と千尋の神隠し」について書きたいと思います。 この物語について特筆すべきは、主人公の少女、千尋が両親の貪欲さからなる「負債」によって奴隷労働者とされてしまう、という部分であると思われます。...
View Article現代社会における性神神話としてのジブリ作品 3・カオナシの大衆
千と千尋の神隠しについてのお話を続けましょう。 神々と人類を繋ぐものとしての性について前回は書きました。 親世代の罪の贖いとして神々のセックス・ワーカーとなった千(千尋)を差配しているのは老婆です。 ジブリの作品においてヒロインと対応して常に年上の女性が配置されているということはこれまでも書いてきました。 これは女性性が持つ女神性の役割交代、世代交代を意味する物であると想像されます。...
View Article現代社会における性神神話としてのジブリ作品 4・ハウルとカオナシ
今回の一連の記事群で、最後に取り上げたいのは「ハウルの動く城」です。 私の気のせいなのかもしれませんが……この作品、影が薄くはないですか? 原因は、その決して理解しやすくはないストーリーだけではなく、圧倒的に主人公が男性の作品である、という要素が強いような気がします。...
View Articleバカの税金
ささやかな私事をご披露いたします。 昨年百円ショップで購入した、十万円たまる貯金箱がもうパンパンになったので中身を数えてみました。 おおむね十二万円台後半の金額となりました。 もしかしたら以前にも少し触れたかもしれませんが、私が小銭貯金を始めたのは、当時乗っていたアメリカンのバイクに必要な車検料金のためです。...
View Articleエゴではない物を養う
以前に、気功で養った物はエゴではない別の生命のような感じがあるということを書きました。 このエゴでは無い物を如何に扱い、養って強くして行くかというところが中国武術では重要であったりします。 そのための行を内功と言ったりします。 日本武術ではこの部分を禅からの引用で明鏡止水と称したりするようです。 フィリピン武術にもこの要素があります。...
View Article短拳進捗
このところ、自分の中での五祖拳の打ち方が良く進捗しているように感じています。 この打ち方は、言うならば双重における心意拳の発勁のような感じです。 私が教わった物に関して言うなら、心意拳の方が見た目の動きが大きい。 使っているシステムは同じなのですが、五祖拳の方がより微細です。 逆に、白鶴拳は共通のシステムを使っていても足から上の部分の操作が大きい。...
View Article近代アジアの市民史 1・まずは近代西洋史について
思えばここで記事を上げるということを始めた十年近く前、キリスト教圏の歴史の大要からルネサンスによる人間主義の流れ、それから革命の季節の到来について書いて現代社会の成立を辿ったことがありました。 現在我々が住まっている資本主義社会の中の国の現状を認識するためには欠かせない経緯だったと思っています。...
View Article近代アジアの市民史 2・1917晃子ロシア革命
フランス革命で貴族支配は打倒され、平民社会が広まりました。 この時代のことを良く言う人には会ったことがありません。 ギロチンが活用され、意味や理念はおきざりにただ恐怖と言う感情で政治を執り行う時代だったからです。 当たり前です。彼等は政治経験のない感情至上主義の貧民だった。 これと同じことが、第一次大戦下のロシアでも起きます。...
View Article近代アジアの市民史 3・我が国の鏡像
混迷を極めたロシア革命の後、マルクス主義、それを受け継いだレーニンによって社会主義革命思想がソビエトと言う国を形成してゆきます。 ここまでの流れでお分かりのように、これはつまり、白人優位主義へのカウンターです。 よって、当時の西洋白人社会で起きていた資本主義運動へのカウンターとなります。 この運動の中で中国への展開の中で共産党が生まれ、朝鮮半島への展開としては金家が発展してゆきます。...
View Articleロシア問題と身体文化
第一次大戦前後のパラダイム・シフトから書いてきて、白人優位主義、資本主義へのカウンターとしてのアジアでの運動を書いてきまして、その中での境界線としてのロシア、旧ソ連について書いてきました。 昨年末からこの境界においては東西の軋轢が再び激化しており、毎日ニュースでは取り上げられています。...
View Articleバレエ関係の事件からみる日本の民度 前編
さて、ユーラシア大陸北部で伝播された西洋身体文化の粋としてバレエを何度も取り上げてきていますが、最近このバレエを巡る炎上騒動がYOUTUBE上で起きていることを目にします。 この件を私が見たままに要約しますと以下のようなことのようです。 1・...
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